研究課題/領域番号 |
21K18235
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東山 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00313205)
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研究分担者 |
松浦 公美 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (50415296)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | ブラシノステロイド / 受容体 / ステロイドホルモン / 生殖ホルモン / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
動植物の低分子ホルモンにおいて、ステロイドは唯一共通する分子種である。ブラシノステロイドは、1979年に花粉から精製されることで発見された。その機能解明は茎や葉などの栄養組織で行われ、細胞膜に存在する一回膜貫通型の受容体が発見された。これを起点とするシグナリング経路は詳しく解明された一方、ブラシノステロイドが花粉から発見された意味は顧みられることはなかった。我々はブラシノステロイドが植物生殖において極めて重要な生殖ホルモンであることを突き止めた。さらに、予備的な結果は、未知の受容体の存在を強く示唆した。性に関わることが多いステロイドホルモンの誕生と進化の概念を大きく変え得る本研究に挑戦する。
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研究実績の概要 |
動物と植物のホルモンにおいて、唯一共通する分子種が存在する。ステロイドである。植物のステロイドホルモンであるブラシノステロイドは、1979年に花粉から精製されることで発見された。その機能解明は、茎や葉などの栄養組織で行われ、1997年には細胞膜に存在する一回膜貫通型の受容体BRI1も発見された。BRI1を起点とするシグナリング経路は詳しく解明された一方、ブラシノステロイドが花粉から発見された意味は顧みられることはなかった。最近我々はブラシノステロイドが植物生殖において極めて重要な生殖ホルモンであることを突き止めた。我々はブラシノステロイドが、植物の進化の初期に、生殖や成長を担うホルモンとして誕生したという仮説に至った。動物でも性に関わることが多い「ステロイドホルモン」の誕生と進化の概念を大きく変え得る本研究に挑戦する。本年度は、論文の準備に重点をおいた。シロイヌナズナにおけるブラシノステロイドの定量データについても、過去に報告がないことを確認し、十分なデータを取りそろえる準備を進めた。さらに受容体やその下流因子である可能性のある分子群について、探索と変異体の整備を進めた。研究をさらに推進するための研究体制として、理化学研究所光量子工学研究センターの松浦(時田)博士に分担者として加わってもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、大きく分けて、1)ブラシノステロイドの未知受容体の同定と、2)ステロイドと有性生殖の関係性に関する解析、の二つのアプローチを並行して進めることとしている。1)の実験と、2)のここまでの結果の取りまとめについて、計画通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究分担者である松浦公美博士(理化学研究所)とともに、1)ブラシノステロイドの未知受容体の同定と、2)ステロイドと有性生殖の関係性に関する解析の、二つのアプローチで研究を進める。1)について、BRI1をはじめ、これまで多くの植物ホルモンの受容体の同定が達成されてきた遺伝学的方法は、シグナリング経路の解明も含めて、進めるべきアプローチである。シロイヌナズナ花粉で、ブラシノステロイド応答を可視化するマーカーの確立を引き続き目指す。発現データ等から見出した受容体の可能性がある分子について引き続き解析を進める。2)について、生理活性のバイオアッセイだけでなくトランスクリプトームも用いながら解析を継続する。ステロイドホルモンの作用点を明らかにし、幅広い植物種の生殖における効果について解明を目指す。ブラシノステロイドが植物の生殖ホルモンであることを示す論文を発表する。
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