研究課題/領域番号 |
21K18236
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
千原 崇裕 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (00431891)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 共食い / 感覚 / ショウジョウバエ / 嗅覚 / 味覚 |
研究開始時の研究の概要 |
共食いは無脊椎動物から脊椎動物まで様々な生物で観察され、進化の観点から理に適った行動と考えられています。多くの場合、種の繁栄に有利に働くとされており、共食いは生物がもつ生得的行動と捉えられています。しかし、共食いに関する研究の殆どは現象の観察・記載に留まっており、その分子機構については殆ど分かっていません。研究代表者はショウジョウバエを用いた神経遺伝学的研究を行う過程で、偶然にも、特定の化学受容変異体の幼虫が“共食い行動”を示すことを見出しました。本研究では、この“共食い変異体”を切り口に、共食い行動の分子基盤、特に化学受容による共食い行動制御の分子機構を解明します。
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研究成果の概要 |
研究代表者が独自に見出した“共食い変異体”の発生過程を詳細に解析したところ、共食い変異体は野生型に比べて幼虫期における発生が顕著に遅延していることを見出した。興味深いことに、野生型と共食い変異体を同じ条件で一緒に飼育した場合、野生型の発生速度が顕著に遅れることを明らかになった。今回用いている共食い変異体は“化学感覚受容に異常がある変異体”である。よって本来、共食い行動は何らかの化学物質受容によって抑制されていると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共食いは多くの生物で観察される行動であることが知られているが、共食いを対象とした研究の歴史は浅い。共食いに関する研究のほとんどが博物学的な記載に留まり、分子生物学的・遺伝学的研究は皆無に近い。今回、ショウジョウバエを用いた共食い行動解析は、同種間の捕食行動である共食い行動の理解に留まらず、異種間での捕食行動を理解するきっかけにもなる。また、今回の共食い変異体は、化学感覚(嗅覚と味覚の双方)の変異体であることから、共食い行動が複数感覚の統合によって厳密に制御されていることを分子レベルで示す初めての研究となる。
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