研究課題/領域番号 |
21K18245
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
岩里 琢治 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (00311332)
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研究分担者 |
福田 孝一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (50253414)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 神経科学 / 発達期可塑性 / マウス / 二光子顕微鏡 / シナプス / 大脳皮質 / 新生仔期 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む高等動物の脳が生後発達期において、神経活動の影響を受けながら環境に最適化した精緻な回路を作り上げるメカニズムを理解することは、神経科学の最重要課題の一つである。中でも新生児期は大脳皮質回路の大規模な再編が起きる重要な時期だが、新生仔脳の解析は技術的に難しいため、その理解は大きく遅れている。本研究課題の目的は、新生児大脳皮質の回路精緻化の「現場」を直接見て理解する、新たなアプローチを開拓することであり、マウス大脳皮質体性感覚野の視床皮質シナプスをモデルとして、二光子顕微鏡と電子顕微鏡を組み合わせて、新生仔期のシナプスの特徴およびシナプスと樹状突起ダイナミクスとの関係を解析する。
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研究実績の概要 |
大脳皮質の神経回路は、生後の一時期に感覚入力や自発神経活動の影響を強く受けながら精緻化され、成体の高度な脳機能を担う洗練した回路となる。特に新生仔期は大脳皮質の神経回路は大規模な精緻化が起きる重要な時期であるが、成体の脳で用いられる手法の多くは新生仔脳でそのまま使うことはできない。そうした実験手法の未整備のため、大脳皮質が精緻化される”現場“で実際に何が起きているかはほとんどわかっていない。本研究課題では、生後発達期の神経活動依存的神経回路精緻化が形態学的に明確に検出できる特長をもつマウス体性感覚野(バレル野)をモデルとしてこの課題に取り組んでいる。成体では、バレル野第4層の神経細胞は1個のバレルに向けて非対称的に樹状突起を伸ばすことにより、1本のヒゲからの入力を大脳皮質に伝える視床皮質軸索と選択的にシナプスを作っている。昨年度までの研究により、新生仔マウスのバレル野第4層神経細胞の樹状突起形態の変化を1時間ごとに8時間にわたりタイムラプスで観察することに成功していた。その手法を用いてイメージングを行い、本年度中に、樹状突起形態が9時点のすべてで明確に観察できる細胞を19個手に入れた。それらの細胞の樹状突起形態を観察時点間で比較することにより、(これまでの8時間間隔では難しかった)樹状突起ダイナミクスの正確な追跡が初めて可能となった。得られた4次元データを様々な観点から定量解析した結果、樹状突起やその枝の新生、退縮、さらに伸縮に関して、バレルの内側と外側で差がないことが明らかとなった。この結果は、バレル野第4層細胞が樹状突起や枝をバレル内側に選択的に作ったり、逆にバレル外側で選択的に樹状除去するのではなく、大規模な試行錯誤を行いながら樹状突起を精緻化することを示していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二光子顕微鏡による樹状突起形態変化のタイムラプス観察を、従来の8時間間隔ではなく1時間間隔で行うことにより時間解像度を上げることに成功した。さらに、用いる蛍光蛋白質を工夫することにより空間解像度を上げることもできた。これらの技術的な改善により、新生仔マウスのバレル野第4層細胞の樹状突起の精緻化に伴う形態変化を正確にとらえることが可能となった、その詳細な定量解析により、樹状突起精緻化メカニズムに新しい知見を加えることができた。一方、二光子顕微鏡の画像解析に当初の想定よりも時間を要したため一部の解析の進捗に遅れもあった。これらのことを総合的に評価して「おおむね順調」としたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの解析で明らかになった第4層神経細胞の樹状突起精緻化の正確なダイナミクスの情報を基盤として、特に、シナプス形成との関係に着目して、新生仔マウスのバレル野第4層における樹状突起精緻化のメカニズムを明らかにする。
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