研究課題/領域番号 |
21K18248
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻川 和丈 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (10207376)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | 大腸がん / 細胞外小胞 / RNA脱メチル化 / ALKBH5 / がん微小環境 / TLR8 / tRF / 自然免疫 / がん / 単球 / RNA修飾 / 炎症性サイトカイン / Toll様受容体 / がん細胞増殖 / 5’-tRF-GlyGCC / 自然免疫系 / エピトランスクリプトミクス / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は細胞表面分子やサイトカインなどを介して獲得免疫系を攪乱させ自らの生存と増殖を確保している。本研究では、がん細胞が細胞外小胞内のRNA修飾体バランスを正常細胞と変えて放出することで、あえて単球や腫瘍関連マクロファージのパターン認識受容体に非自己として認識させて自然免疫系を活性化させ、サイトカイン産生をがん細胞有意な微小環境へと誘導する戦略を取っている、という仮説を検証する挑戦的研究である。
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研究実績の概要 |
本研究では、自己細胞由来のがん細胞が自然免疫系の細胞機能を操るのか、またその機構があるとしたらどのような機序によりがん細胞自らの生存や増殖を有利にしているのかの問いに対して、大腸がん臨床検体の活用により研究した。その結果、大腸がん組織は大腸非がん部組織と比べて多いRNA量を含有した細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)を放出している。そのRNAの中でも、tRNA Fragment (tRF)の1つである5'-tRFのGlycine-GCC (5'-tRF-GlyGCC)量が多いことが示された。またその5'-tRF-GlyGCC はALKBH5によりN6-methyladenosine(m6A)が脱メチル化されていることが示された。大腸がん細胞はm6Aレベルを低下させた5'-tRF-GlyGCCをEVに封入して放出していたのである。そこでそのEVの自然免疫系担当細胞の単球、マクロファージに対する作用を解析した結果、m6A低レベル5'-tRF-GlyGCCはTLR8により認識されてシグナル伝達を惹起し、炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6を放出させる機序の存在が明らかとなった。また単球やマクロファージから放出されたTNF-αやIL-6は大腸がん細胞の増殖を促進することも認めた。さらにin vitroで転写した5'-tRF-GlyGCC(アデノシンのメチル化はない)をトランスフェクション下EVをin vivo大腸がんモデルマウスに投与したところ、腫瘍形成促進作用が認められた。 本研究により、がん細胞は特徴的なRNA修飾レベルを低下させたtRF含有EVの放出により、自然免疫系を制御してがん細胞の増殖や生存性を有意にさせる機序の存在を示すことができた。
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