研究課題/領域番号 |
21K18250
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松本 邦夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90201780)
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研究分担者 |
井上 啓 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (50397832)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 細胞増殖因子 / ネオバイオロジクス / HGF / MET |
研究開始時の研究の概要 |
細胞増殖因子は他に置き換えられない顕著な薬効をもつものの、医薬として利用されている増殖因子は一部にとどまっている。汎用性のある手法で標的組織集積性、生体内安定性の顕著な向上、血中レベル制御など、医薬としての優れた化学特性・性能をもつ細胞増殖因子を創成することは難治性疾患の治療に革新的な進展をもたらす。本研究では、高機能・超機能細胞増殖因子を創成することを目的とする。HGF受容体METに結合する環状ペプチド配列を抗体Fc領域、トランスフェリン分子内にグラフト(内挿)し、それぞれ、高い血中安定性、血液脳関門通過能をもつ、MET活性化超機能細胞増殖因子を創成し、疾患モデル動物において、動態や薬効を検証する。
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研究実績の概要 |
細胞増殖因子は他に置き換えられない顕著な生理活性をもつが、化学的な特性により、医薬として利用される増殖因子は一部にとどまる。私たちはHGFやMET受容体に高い親和性で特異結合する環状ペプチドを取得した(Nature Commun, 2015; Nature Chem Biol, 2019)。また、環状ペプチド配列をscaffoldタンパク質に内挿/graftすることによって、標的結合性を様々なscaffoldタンパク質に付与できることを示した(Lasso-Graft法)(Nature Commun, 2021)。一方、増殖因子受容体はダイマー化によって活性化されることから、MET結合ペプチド配列が2ヶ所内挿されたタンパク質はMET受容体のダイマー化、すなわちMET活性化能をもつ可能性がある。本研究はLasso-Graftタンパク質工学技術を用いて、超機能バイオロジクスを取得することを目的としている。MET結合ペプチド配列(aMD4)を、ヘテロダイマータンパク質であるIgG Fc部分に内挿することによって、Fc分子内にaMD4配列が2ヶ所呈示されたFcが得られた。同分子によるMET活性化を評価した結果、HGFと同等のMET活性化能をもつことが検証された。マウスでの検討から、投与後10日を経過しても、MET活性化を引き起こす同分子の血中濃度が維持された。すなわち、HGFに匹敵するMET活性化能に加え、血中で高度に安定な“HGF-mimetic”を創成することに成功した。長期血中安定性をもつ分子による疾患治療への応用を考慮し、NASH肝疾患モデルにおいて顕著な薬効を示すことが検証された。さらに、MET活性化はニューロンの生存を促す。そこで、血液脳関門/BBBを通過することが可能な抗トランスフェリン受容体抗体のFc領域にaMD4を内挿することによって、MET活性化能と同時に、脳実質内ニューロンに到達する超機能分子を創成することに成功した(Nature Biomed Eng, 2023)。 以上、汎用性の高い分子技術を用いることによって、従来には達成されなかった、高機能細胞増殖因子の創成に成功した。
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