研究課題/領域番号 |
21K18259
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (40375259)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2026年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 患者由来がんオルガノイド / 化学療法耐性 / がん幹細胞 / ヒトがんオルガノイド / 自己分泌 / 治療抵抗性 / 腫瘍内癌不均一性 / ヒトがん |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織は多様な遺伝子変異や性質を有する癌細胞から構成されており、この現象は「腫瘍内癌不均一性」として知られ、癌の治療抵抗性の原因と考えられている。本研究では、この腫瘍内癌不均一性を試験管内に再現するヒト癌オルガノイドライブラリーを独自に確立し、これを用いて治療抵抗性癌の抗癌剤耐性獲得機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
申請者は、独自に確立した舌がんオルガノイドライブラリーについて、実際に臨床治療に使われる、シスプラチンに対する感受性を検討し、これらのうち3症例の患者由来の舌がんオルガノイド株がシスプラチン耐性舌がん細胞を、相対的に多く含むことを見出している。また、これらのシスプラチン耐性舌がん細胞の網羅的遺伝子発現データから、複数(11種)の分泌因子の発現が、同がん細胞において特徴的に濃縮されていることを見出している。昨年度の研究においてシスプラチン耐性舌がんオルガノイド株において、レンチウイルスベクター系を用いた分子Xノックダウンオルガノイド株を作製したが、同分子のノックダウンによるシスプラチン感受性亢進はごくわずかでり、これらの分子発現の亢進はパーシスタンスの誘発には必須ではないと考えられた。一方、並行して申請していた先進ゲノム支援の中で実施した同オルガノイド株のscMultiome解析結果から、化学療法耐性舌がんでは、期待されたとおり、化学療法感受性舌がんに比べ、分子X遺伝子上流のエンハンサー領域のクロマチンアクセシビリティが著明に亢進してい流ことを確認した。また興味深いことに、当該領域にはがん細胞の休眠状態誘導のマスターレギュレーターとして、細胞周期抑制や、タンパク合成抑制を引き起こすことが知られている転写因子Yの結合モチーフが強く濃縮されていることがわかった。つまり、化学療法剤耐性がんにおける分子X 遺伝子の発現亢進は、転写因子Yを介した転写レギュローム活性化の結果の一つと考えられ、このような転写制御の異常が化学療法剤耐性がん幹細胞を産む原因であることが予想された。一方、多症例の食道扁平上皮がん患者組織から樹立したがんオルガノイド株についても、昨年度に引き続き、遺伝子変異解析、遺伝子発現解析、エピゲノム解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分子Xノックダウンオルガノイドで、化学療法剤応答性がわずかにしか変化しなかったことで、研究方向性の修正を余儀無くされた。また本年度申請者は所属機関を異動し、培養を一時休止せざるを得なかったため、実験が遅延した。その一方、科研費申請時点で見出していた現象の背景に、化学療法耐性がん幹細胞の性状形成に重要と考えられる転写因子Yを介した転写制御があることが見出され、来年度以降の研究の方向付けができた点は進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
化学療法抵抗性を担う遺伝子発現の全体像を明らかにするため、化学療法剤耐性舌がんオルガノイドで転写因子Yを対象としたChIP-seqを実施し、標的遺伝子群を同定する。また この情報を取得済みのscMultiomeデータと統合することで、化学療法剤耐性がん幹細胞を特定し、遺伝子発現プロファイルからそれらの性状を推定する。
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