研究課題/領域番号 |
21K18262
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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研究分担者 |
小川 敦司 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (30442940)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | K-Ras / DNA アプタマー / ユビキチンリガーゼ / K-Ras 変異 / がん治療 / DNAアプタマー / タンパク質分解 / SPOP / cullin3 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞が内在的に有するタンパク質分解システムの一つにユビキチン・プロテアソームシステムがある。このシステムの一つCUL3-SPOPユビキチンリガーゼを、膵がん、肺がんや大腸がんで高頻度に認められるK-RasG12変異体3種(K-RasG12D/V/C)に指向性を持つようにする基質指向性変換モジュレーター分子を開発し、癌細胞増殖阻止へ応用する。本モジュレーターは1アミノ酸変異も認識しうる人工分子DNAアプタマーをSELEX法にて調製し、SPOPとK-RasG12D/V/Cを架橋することで作成する。
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研究実績の概要 |
遺伝子解析技術の簡易・高速化により、様々な疾患特異的な遺伝子変異が明らかになる中、その変異遺伝子によって作られる変異タンパク質を標的とする治療薬開発が課題となっている。通常、私たちの体には、タンパク質を一定量に保ったり、品質を管理したりするシステムとしてユビキチン・プロテアソームによるタンパク質分解システムがある。このシステムの一つを、任意に標的としたい変異タンパク質に指向性を持つようにする基質指向性変換モジュレーターを開発できれば、変異タンパク質の蓄積や異常活性化・不活性化を防ぐことができる。本研究では、膵がん、肺がんや大腸がんで高頻度に認められるK-Ras G12変異体3種(K-RasG12D/V/C)を対象事例として、K-RasG12D/V/Cを特異的に分解するCUL3型ユビキチンE3リガーゼ(CUL3 UbE3)システムを基盤とした基質指向性変換モジュレーターをDNAアプタマーで開発しこれを応用することで上記がん細胞の増殖を阻止する。これにより、疾患特異的変異タンパク質を任意に標的・分解する共通技術プラットホームを提案・創出し、その有用性と汎用性を示し、実用化を目指す。初年度の結果を踏まえ、WT担持磁気ビーズを用いたネガティブセレクション(カウンターセレクション)を採用した改良版SELEXの16ラウンド終了後に数種類の配列に濃縮できた。そこで、得られた各配列を有するDNAを化学合成し、磁気ビーズ、G12D、WT、ビオチン化タンパク質コントロールに対する結合活性を調べた。その結果、G12D変異体に特異的ではないもののK-Rasに特異的に結合するDNAアプタマー「C&A2」を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一段階は、多くのがんで高頻度に認められるK-Ras変異体(G12D)に特異的に結合するDNAアプタマーを獲得することである。初年度に行った競合的SELEX法では、K-Ras固定化用のビオチン化領域に結合するDNAが濃縮されてしまい、G12Dに特異的に結合するDNAアプタマーの獲得には至らなかった。昨年度は、ランダム塩基長、カウンターセレクションの方法、厳格化のタイミング、を変更した改良版SELEXによって、G12D結合DNAアプタマーの獲得を目指した。具体的には、40個のランダムヌクレオチドを含む80塩基長の1本鎖DNAライブラリ(2.9×1015種)を初期プールとして、磁気ビーズによるネガティブセレクションおよびG12D担持磁気ビーズによるポジティブセレクションを、条件を緩やかに厳格化しながら合計16ラウンド繰り返した。なお、初年度は野生型K-Ras(WT)担持アガロースビーズによる競合的カウンターセレクションを行ったが、改良版SELEXにおいては、WT担持磁気ビーズを用いたネガティブセレクション(カウンターセレクション)を採用した。16ラウンド終了後のDNAライブラリを次世代シークエンサーで解析したところ、数種類の配列に濃縮されていたため、各配列を有するDNAを化学合成し、磁気ビーズ、G12D、WT、ビオチン化タンパク質コントロールに対する結合活性を調べた。その結果、G12D変異体に特異的ではないもののK-Rasに特異的に結合するDNAアプタマー「C&A2」を同定した(G12DおよびWTに対する解離定数は約100 nM)。また、当該アプタマーの特異性および親和性は、がん治療薬候補として昨年度に特許が公開されたG12D結合DNAアプタマー「NBK2-TG」と同定度であった(配列は全く異なる)。
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今後の研究の推進方策 |
WTに比してG12Dに特異的に結合するDNAアプタマーは獲得できなかったが、WTとは異なりG12Dはapo状態になりやすい(自発的ヌクレオチド交換活性が上昇する)変異体であるため、C&A2がapo状態のK-Rasを認識する場合、G12Dを含むK-Ras変異体(ヌクレオチド交換活性が高いもの)を特異的に標的にできると考えられる。今後は、各がん細胞における当該アプタマーの効果を調査するとともに、SPOP結合リガンドと融合させることで、基質指向性変換モジュレーターの作製に挑みたい。
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