研究課題/領域番号 |
21K18265
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
和多 和宏 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70451408)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 発話障害 / 動物モデル / 大脳基底核 / 時系列制御 / シングルセル解析 / 発声学習 / 鳴禽類ソングバード / 発声学習行動 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに独自に発見したソングバードの大脳基底核内のGABAergic細胞選択的除去によって、なぜ吃音様の「音素時系列配列の繰り返し異常」が起こるのか?、『大脳基底核の機能異常』によって、異常繰り返し発声パターンの生成につながる神経動作原理を明らかにする。そのために、次に示す「細胞・分子、回路システム、個体発達」レベルの発症起因要因を検証する3つの実験を組み合わせた研究を進めていく。
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研究実績の概要 |
本研究目的として、発声学習時の大脳基底核ループ経路の機能異常にあるとする『大脳基底核ループ機能異常』仮説を検証することを目的にしている。これを踏まえ、以下の2点に関して研究を進めた。 (1) 本研究でフォーカスする大脳基底核歌神経核(Area X)を構成する全細胞タイプの同定及び、その構成比を検証した。吃音発症原因にドーパミン受容体D1RとD2Rタイプの発現比率の異常の存在を伺わせる知見が多く存在する。このために、シングルセルRNA発現解析実験を実施し、大脳基底核内に存在する細胞タイプに選択的に発現しているドーパミン、及びアセチルコリン、セロトニン等の神経修飾物質受容体サブタイプの同定を進めた。ドーパミン受容体D1RとD2Rタイプの鳴禽類キンカチョウ成鳥の大脳基底核Area Xにおけるmedium spiny neuron(MSN)では、それぞれD1R、もしくはD2Rのみ発現する細胞のみならず、両方のサブタイプを発現している細胞がMSNの20~30%におよぶことが明らかになってきた。これらの細胞比率が発声学習臨界期中に変動するのか、また異常繰り返し発声を誘導した個体において、正常発声個体と有意な違いを示すドーパミン受容体発現細胞の有無を今後明らかにする必要がある。 (2) 昨年度本研究ではアデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus: AAV)によるmiR30バックボーンにしたshRNAi法を導入した。ドーパミン受容体遺伝子を含めた種々の候補遺伝子を対象とした遺伝子ノックダウン実験を脳内in vivo実験として進めている。その際、発声学習臨界期後で繰り返し音素を多く生成する個体とそうでない個体の2群に分け、発声運動制御の観点から異常繰り返し発声行動の誘発の違いが生じるのか行動実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初実施予定にしていたアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いたソングバード大脳基底核歌神経核でのドーパミン受容体遺伝子を含めた種々の改変実験を概ね予定通り進めていくことができている。また、シングルセルRNA発現解析実験も実施、大脳基底核内に存在する細胞タイプに選択的に発現している神経修飾物質受容体サブタイプの同定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いたソングバード大脳基底核歌神経核での遺伝子改変実験と並行して、大脳基底核内の興奮・抑制バランスを人為的に操作する目的で、ドーパミン、アセチルコリン、セロトニンの神経修飾物質受容体サブタイプ特異的なアゴニスト・アンタゴニストを大脳基底核 歌神経核 Area Xに限定して注入する薬理実験を行う。
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