研究課題/領域番号 |
21K18268
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平田 浩聖 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (30899315)
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研究分担者 |
横田 隆徳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90231688)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 脳エネルギー代謝 / MRI / グルコース輸送体 / 抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病をはじめとした多くの中枢神経系疾患は、未だ有効な治療薬や診断薬がない。その要因の一つが血液脳関門の存在である。本研究では、グルコース輸送体の生物学的機序を活用することにより、静脈内投与で血液脳関門を通過し、脳実質内に効率的に移行する血液脳関門通過型抗アミロイドβ抗体の開発を行う。さらに、抗体にキレート剤を複数結合させることで、新規MRイメージングへの発展を目指す。
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研究実績の概要 |
大きな社会問題になっているアルツハイマー病をはじめとした多くの中枢神経系疾患は、未だ有効な治療薬や診断薬がない。その要因の一つが 血液脳関門 (BBB; blood brain barrier)の存在である。本研究では、グルコース輸送体(Glut; glucose transporter)の血糖変化に伴う生物学的機序を活用することにより、血液脳関門を通過し、脳実質内に効率的に移行するBBB通過型抗アミロイドβ(Aβ)抗体の開発を目指している。具体的には、脳血管内皮細胞に高発現するGlut-1の血糖変化に伴う細胞内リサイクリングを利用し、Glut-1を介して抗Aβ抗体を高効率にBBBを超えて脳内に導入する技術開発を行う。Glut-1の基質であるグルコースを表面に配位した高分子ミセルによるBBB通過技術であるグルコースミセルを応用し、内部に複数の断片化抗Aβ抗体を包含させたグルコースミセルを、血糖操作を施したアルツハイマー病モデルマウスの静脈内に投与する実験を行った。その結果、脳内の神経毒性を有する複数のアミロイド種が除去され、脳の病理学的変化が抑制されることを確認した。これらの結果は論文報告した。MRイメージングへの展開については、MR造影剤であるGd-DOTAを複数導入した抗Aβ抗体をアルツハイマー病モデルマウスの脳実質内に投与し、MRI撮像を行ったが、明確な信号変化は捉えられなかった。 また、今回の研究では、グルコースの取り込みを活用しているが、この機序はアルツハイマー病の病態にも関連している。アルツハイマー病患者では、グルコース利用の低下が知られており、病態における脳内のエネルギー代謝障害が注目されている。申請者は、MRスペクトロスコピー(MRS)を用いた検討により、アルツハイマー病患者の脳内エネルギー代謝異常とアストロサイトの活性化との関連を明らかにし、論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液脳関門通過型抗体の開発に向けて、グルコースミセルを用いた基礎研究と、アルツハイマー病患者の脳内エネルギー代謝障害に関する臨床研究の両面から進捗があったため。
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今後の研究の推進方策 |
アルツハイマー病の脳エネルギー代謝異常の背景メカニズムの詳細を検証する。MRイメージングの開発については、抗Aβ抗体へのMR造影剤(Gd-DOTA)の導入率を最適化し、MRイメージングの感度を向上させる。
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