研究課題/領域番号 |
21K18272
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
筋野 智久 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40464862)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,090千円 (直接経費: 19,300千円、間接経費: 5,790千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 大腸炎 / 脳腸連関 / 制御性T細胞 / 脳腸相関 |
研究開始時の研究の概要 |
消化管内においては炎症をおこす細胞と炎症を抑制する細胞がバランスをとることで腸管内におけるホメオスタシスを保っている。炎症性腸疾患は慢性炎症を起こす疾患であるが、このバランスが崩れることで発症すると考えられている。そこで体外からの抗原シグナルのみならず、体内からの神経シグナルを中心に、特にTregの挙動、誘導を中心に検討することで、炎症性腸疾患の病態解明を行う。
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研究実績の概要 |
近年脳ー腸連関が明らかとなりつつあり、特に神経回路を介して免疫細胞が関与することが多数報告されている。体内に張り巡らされた神経繊維が局所での免疫 細胞の維持さらに局所での炎症シグナルを脳に伝播することで、局所の免疫応答に重要な役割を担っていることが明らかとなりつつある。これまでに皮膚の神経 繊維がTLR7を介し脳にシグナルを与え、そのシグナルを腸管が受けることで腸管の免疫細胞が変化し腸炎を増悪させることを見出した(Kiyohara, Sujino Cell Mol Gast. Hepa. 2019)。 さらに神経伝達シグナルであるアセチルコリン受容体を有するマクロファージが抑制性のT細胞であるRorgt+Tregの腸管内での維持に重要であり、迷走神経遮断においてアセチルコリン受容体を有するマクロファージが減少することを見いだした(Teratani Nature 2021)。 脳腸管関連性においても求心路の解析が進む一方で、遠心路における病態制御、特に免疫細胞の消化管内での局在、動態については長年不明である。近年単一細胞レベルの免疫細胞機能解析における飛躍的な技術進歩により消化管内での多様な細胞の機能的相互作用を解析することが可能となった。これまでに報告されて いない細胞間の相互作用ネットワークが構築され、免疫細胞のクラスター化などが可視化可能となっている。申請者はこれまで2光子顕微鏡を使用することで腸管内におけるTregの局在、動態を報告している(Sujino Science 2016)。そこで遠心路を中心としたシグナルに着目し、腸管解析を行い動態を含めた脳ー腸管 連関の理解に挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経伝達物質アミノ酸の1つであるDーAlaが腸管、肝臓炎症抑制に必要であることを報告した(Sujino T. Cell Mol Gast. Hep. 2023)。また、腸管上皮内における細胞の分化についても局在について報告した。(Sujino T. Nature Com. 2023)。さらに腸管内における神経伝達物質の腸内細菌を応用した産生機構を解明し報告した(Sujino T. Cell Rep. 2023)。昨年度本研究テーマを通じて研究報告を大きく推進した。さらに2023年には2022年にマウスファシリティーの建て替えで中断していた研究を再開し、マウスコロニーの立ち上げ、2光子顕微鏡を利用した安定的な画像取得に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに腸管上皮シグナルがTregの局在、動態制御を行い、大腸炎を抑制することを報告した。脳と腸管におけるシグナル経路を解明する目的で、EAEモデルを新たに採用し、迷走神経切断、及び切断後に神経刺激を行い腸管におけるTregの局材を検討している。さまざまな神経伝達物質の中で、Tregの運動を2光子顕微鏡で撮影する予定である。迷走神経遮断でEAEが改善することを見出しており、腸管内におけるTreg,Th17細胞のPhenotypeが大幅に変わることを見出している。さらに迷走神経から伝達される物質において特定の物質が重要であることを見出しており、その特定の物質に伴う腸管内のTreg、Th17細胞の時空間的解析を行う予定である。
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