研究課題/領域番号 |
21K18279
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原田 高幸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 参事研究員 (90345306)
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研究分担者 |
行方 和彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (70392355)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 視神経再生 / 視機能回復 / 緑内障 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国には160万人を超える視覚障害者が存在する。最大の失明原因である緑内障など、特に視神経の変性疾患については、根本的な治療法がないことが問題になっている。そこで本研究では神経ネットワークの再構築を促進する新たな再生治療法を開発することにより、一旦失明した状態からの視機能の回復を目指す。
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研究成果の概要 |
脳由来神経栄養因子BDNFの高親和性受容体であるTrkBの細胞内領域のみを細胞膜に強制発現させるアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-iTrkB)を作製した。同ベクターを一度眼球内投与すると、緑内障モデルマウスにおいて進行が抑制された。さらに視神経外傷モデルにおいては、視神経軸索が視交叉に到達するほどの強力な再生効果が確認された。一方、上丘外傷モデルにおいては、再生線維が切断部位を超えて上丘内に到達して、視機性動眼反射が一部改善した。以上からAAV-iTrkBベクターを用いた遺伝子治療が、緑内障を含む網膜変性疾患の進行抑制や、視覚経路損傷後の視機能回復に寄与する可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
視神経外傷や緑内障などで視神経が変性した場合、現在のところ直接的な治療法は開発されていない。今回作製した遺伝子治療ベクター (AAV-iTrkB)はBDNFの投与を必要としない画期的なものであり、視神経の保護や再生にも強力な効果を示した。この成果は国際的な専門誌において発表済み(Molecular Therapy, 2023)であり、国際特許申請も終えている。またこうした新しい手法は他の網膜・視神経変性疾患の治療にも応用可能であることから、今後も研究を継続する予定である。将来的に本研究の成果を視覚障害となっている患者に還元することができれば、大きな社会的意義を持つことが期待される。
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