研究課題/領域番号 |
21K18286
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 久允 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (10451858)
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研究分担者 |
水野 忠快 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (90736050)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | ドラッグリポジショニング / 健康長寿 / 医療創生 / 医療創成 |
研究開始時の研究の概要 |
医療費等の社会保障費の増加は、我が国の財政悪化の主要因である。既存低分子医薬品の転用による新薬開発ドラッグリポジショニング(DR)では、近年隆盛を極めるバイオ医薬品に比して、低コストの医療創出が可能である。しかしながら、これまでのDR成功事例は既知の作用機序の適応拡大に留まるため、DRを適用可能な疾患には制約がある。一方、申請者は、既存薬の未知作用機序の発掘により、新規医療を創製し、DRの新規医療創出基盤としての可能性を拡張した実績を有する(革新的DR)。本研究では、既存薬の未知側面を駆使した革新的DRを体系化し、持続可能な健康長寿社会の実現に資する低コスト医療創製基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
医療費等の社会保障費の増加は、我が国の財政悪化の主要因である。既存低分子医薬品の転用による新薬開発ドラッグリポジショニング(DR)では、近年隆盛を極めるバイオ医薬品に比して、低コストの医療創出が可能である。しかしながら、これまでのDR成功事例は既知の作用機序の適応拡大に留まるため、DRを適用可能な疾患には制約がある。一方、申請者は、既存薬の未知作用機序の発掘により、新規医療を創製し、DRの新規医療創出基盤としての可能性を拡張した実績を有する(革新的DR)。本研究では、既存薬の未知側面を駆使した革新的DRを体系化し、持続可能な健康長寿社会の実現に資する低コスト医療創製基盤を構築する。 既存薬の未知効能を体系的に抽出可能なプラットフォームを構築すべく、大規模診療データに含まれる処方歴、疾患指標に着目した統計解析を行った。新規効能が推察される既存薬を取得し、疾患モデル生物を用いた効能検証試験を実施したところ、一部既存薬では疾患への効能が期待される結果が得られたが、大部分の既存薬では効能が得られなかった。大規模診療データの解析結果を再検証したところ、患者群を確率的にサンプリングする工程において、試行回間のばらつきが大きいことを見出した。そのため計算資源の拡充(ハード面での環境)と、及びそれに対応したプログラム(ソフト面での環境)の改変に取り組むことにより、解析パイプラインを安定化した。本パイプラインでの解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存薬の未知効能を体系的に抽出可能なプラットフォームを構築すべく、クレンジング済みの大規模診療データを処方薬、疾患指標に着目して統計解析を行い、各疾患への効能が推察される既存薬を取得した。新規効能が推察される既存薬を取得し、疾患モデル生物を用いた効能検証試験を実施したところ、一部既存薬では疾患への効能が期待される結果が得られたが、大部分の既存薬では効能が得られなかった。本知見に関する原因究明のため、解析結果を再検証したところ、患者群を確率的にサンプリングする工程において試行回によるばらつきが大きいことを見出した。そこで解析パイプラインの安定化を目指し, 計算資源の拡充(ハード面での環境)と, それに対応したプログラム(ソフト面での環境)の改変に取り組んだ。まず当学のスーパーコンピューターへの移管を試みた。移管自体は無事に成功したものの、ユーザー数が多いことが解析のボトルネックとなることが判明した。1回の試行回数自体は増やせるものの、その間隔が空いてしまうため、総合的な時間コストが高くなってしまった。そこで次にオンプレミス環境の拡充に取り組んだ。昨今の半導体不足によるパーツ不足による構築までに時間を要したものの、新たに同一規格の計算機サーバーを7台連結した計算機クラスターの構築により、安定した解析パイプラインを確立した。現在、本パイプラインでの解析を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
新たに構築したパイプライン解析により、新規効能が推察される既存薬を取得し、疾患モデル生物を用いた効能検証試験を実施する。以前のパイプライン解析の結果と精度を比較検討する。検証試験で効能が得られた既存薬については、投与個体から疾患臓器を摘出し、オミクスデータを取得する。取得したプロファイルデータは、研究分担者が開発した薬理作用分析に供し、既存薬の新規効能を規定する分子基盤を推定する。分子機構の推定後、当該機構の中心的遺伝子について遺伝子改変マウスを作出し、各疾患に対する影響を評価する。本実験を通じ、既存薬の新規効能を規定する分子基盤を明らかにする。
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