研究課題/領域番号 |
21K18301
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮武 勇登 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (60757384)
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研究分担者 |
曽我部 知広 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30420368)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2025年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 数値解析 / 数値線形代数 / 偏微分方程式 / 二次計画問題 / 量子系偏微分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,情報科学諸分野においても偏微分方程式(PDE)の数値計算の重要度が高まっている.従来,PDEの数値計算は,離散化を担う数値解析学と,行列方程式に帰着された後の数値線形代数学によって支えられてきた.学問の細分化の結果それぞれが一つの学問領域として成熟してきたが,一方で両領域間の交流は希薄になってきており,PDEの数値解法の発展の足かせになりはじめている.本研究では,数値解析学と数値線形代数学を独自の視座で再融合し,特に代数学的精神で解析学を数値的に研究する新しい学理 「数値代数解析学」を開拓する.研究期間内では,特に量子系情報・量子物理シミュレーションの限界突破を目指す.
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研究実績の概要 |
偏微分方程式の数値計算は,離散化を担う数値解析学と,行列方程式に帰着された後の数値線形代数学によって支えられてきた.両者はそれぞれが一つの学問領域として成熟し,多くの優れた解法が生成されてきたが,一方で,両領域間の交流は希薄になってきており,偏微分方程式の数値解法の発展の足かせになりはじめている.本研究は,一度は細分化した数値解析学と数値線形代数学を独自の視座で再融合し,特に代数学的精神で解析学を数値的に研究する新しい学理「数値代数解析学」を開拓することを目指すものである. 初年度は,偏微分方程式の数値計算の文脈でしばしばあらわれる制約(主に非負制約)付き二次計画問題に焦点を当て,数値解析学と数値線形代数学の協働により,新しいアルゴリズムである適応型射影SOR法を開発した.射影SOR法とは,連立一次方程式に対する代表的な定常反復法であるSOR法を非負制約を満たすように拡張したものだが,これまで緩和パラメータの選択に困難があった.本研究では,射影SOR法の幾何的な意味付けを明確にすることで,最適化(直線探索)の文脈でよく知られているアルミホ条件やウルフ条件を利用したパラメータ選択法を考案した.行列が半正定値行列の場合に反復アルゴリズムの収束の理論保証に不十分な点が残されているが,人工的な例だけでなく例えば画像のノイズ除去のような多くの具体例に対して,既存の解法よりも効率よく最適解を求められることが数値実験を通して確認できている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,空間1次元の偏微分方程式の時間変数の離散化を研究する予定だったが,それについても検討は進めつつも,(研究期間内で予定していた)空間変数の離散化に関して研究を推進することができ,研究期間全体から見れば,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,適応型射影SOR法の収束に関する理論保証が不十分な点を解決することを目指す.並行して,偏微分方程式の時間変数の離散化を念頭に,SOR法以外の前処理付きクリロフ部分空間法の中で,微分方程式の時間変数の離散化という解釈ができるものを探求する.研究の進展に応じて,高次元PDEの離散化手法についても数値多重線形代数学の観点で検討をはじめる.
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