研究課題/領域番号 |
21K18317
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
|
研究分担者 |
河野 芳海 静岡大学, 工学部, 准教授 (50334959)
渡部 綾 静岡大学, 工学部, 准教授 (80548884)
小林 正樹 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90312678)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | CO2削減 / メタネーション / ドライ改質 / 固体炭素捕集 / CO2資源化 / 構造体触媒 / CCU / 低炭素化 / オートメタネーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、温室効果ガスとされるCO2を含んだ工業排ガスを触媒変換プロセスによって処理し、資源となるCH4や合成ガス、そして固体炭素の捕集を図るCCU型触媒プロセスを構築するものである。具体的には、産業設備からの排出CO2ガスをメタン化反応でCH4に変換し、そのCH4をドライ改質反応で合成ガス(CO+H2)へと変換する。さらに、この合成ガスから固体炭素を連続捕集する触媒プロセスの開拓を図るものである。COP21パリ協定で我国が宣言した、CO2ガス排出量の26%削減(2021年4月に46%に修正)に貢献する触媒プロセスの開拓である。
|
研究実績の概要 |
本研究は、温室効果ガスであるCO2を含んだ工業排ガスを触媒変換プロセスによって処理し、資源となるCH4や合成ガスを製造し、そして合成ガスから固体炭素を連続的に捕集するCCU型触媒反応プロセスを構築するものである。COP26で我国が宣言した、CO2排出量の削減目標に貢献する触媒プロセスの開拓が目的である。今年度の研究推進から以下の成果を得た。 1.メタン化反応における使用H2量の削減を目的に、H2/CO2比の変化がメタン化活性に及ぼす影響を調査した。その結果、化学量論比4から比率を下げることで当然にCO2転化率は低下するもののCO2/CH4比は大きくなり、ドライ改質用の反応ガスとしては好ましい組成となることを示した。この結果は、メタン化反応とドライ改質反応の組み合わせシステムが利便性(H2消費を抑える)ことを示唆する。 2.反応温度の変化によるメタン化反応とドライ改質反応に及ぼすH2/CO2比の影響を調査し、連結プロセスの観点から、メタン化:200℃とドライ改質:700℃の組み合わせが適することを判定した。 3.製作した連結型反応プロセスを使い、CO2を出発源として固体Cの捕集と合成ガスの製造を連続的に実施することに成功した。このことは、産業プロセス排出ガスをそのままに処理でき、かつ固体Cと合成ガス製造を可能にすることを示唆する。 4.捕集された固体Cは捕集場の入口部分に密に析出し、シート状形状を有することがわかった。これまでのファイバー状固体Cとは異なる、新しい形状の炭素が採取できた。 5.構築プロセスによるCO2からC+CO+CH4への物質変換率はH2/CO2の比に影響されず、ほぼ80~90%であり、工業的な有用性が実証された。その有用性をエクセルギー効率で評価したところ、メタン化反応で一度低下するが、ドライ改質反応と固体C捕集においてプラスのエクセルギー効率になることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
メタン化反応とドライ改質反応、そして固体C捕集場の連結型触媒反応プロセスが工業排出ガスの効率的な処理に有効であり、また処理量も大量規模で実施できることが明らかとなったため。加えて、熱力学的なエクセルギー効率もプラスとなり、社会実装性に値するプロセス構築となったため。
|
今後の研究の推進方策 |
R3年度に構築した、メタン化反応+ドライ改質反応+固体C捕集のラボレベルの連結型反応プロセスを用い、以下の項目について研究推進を図る。 1.産業プロセスからの実排ガス処理を目的に、メタン化反応におけるCO2濃度の変化(1%~20%)がメタン変換特性に及ぼす影響を調査する。その際、反応温度やO2共存の影響についても検討する。 2.より高い排ガス処理能力を実現することを目的に、各反応プロセス(メタン化反応とドライ改質反応)における構造体触媒のパワーアップを検討する。触媒担持の基材の変化やコーティング方法の検討、最大担持量の調査を行ない、それぞれの反応に対する触媒特性を精査する。 3.上記の新しく開発する構造体触媒を用いたメタン化反応とドライ改質反応の連結型プロセスにおいて、CO2からCH4合成、CO2+CH4から合成ガス製造についてそれぞれの反応特性を評価する。 4.上記で得られる合成ガスを用いた固体炭素の捕集実験を行なう。これまでの構造体触媒を用いた場合と比較し、パワーアップを図った構造体触媒によるプロセス全体の特性評価から、構築プロセスの社会実装性を検討する。 5.1~4の結果をもとに、産業プロセス排出CO2ガスを処理する連結型反応プロセスの最終的な評価を行なう。その際に、従来の触媒充填型触媒システムとの比較についても検討する。
|