研究課題/領域番号 |
21K18322
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三浦 裕 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40557980)
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研究分担者 |
松井 誠 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (40572376)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 高分子 / ナノテクノロジー / 超分子 / がん / ロタキサン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、精密高分子合成とナノテクノロジーを巧みに用いることにより、世界ではじめて全身投与によって部位特異的にオートファジーを誘導あるいは阻害し、腫瘍の進行を抑制させることが可能な、ポリロタキサン様の構造を有する新規水溶性超分子医薬品を注射剤として開発する。さらに、これらの新規薬剤の全身投与によって、頭頸部がんや脳腫瘍などの悪性腫瘍に対する革新的な治療法を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究では、精密高分子合成とナノテクノロジーを巧みに用いることにより、世界ではじめて全身投与によって部位特異的にオートファジーを制御(on/off)し、腫瘍を縮小あるいはがんの進行を抑制させることが可能な注射剤の開発を行っている。具体的には(1)環状構造を有する疎水性低分子薬剤・ラパマイシンやバフィロマイシンなどの分子内にあるオングストロームサイズの空間空隙を生体適合性高分子化合物で縫い合わせて水溶化させる技術を確立し、この技術によってポリロタキサン様の構造を有する新規水溶性超分子医薬品を開発している。さらに(2)これらの新規薬剤の全身投与によって、頭頸部がんや脳腫瘍などの悪性腫瘍に対する革新的な治療法の提供を目指している。本年度は直鎖状高分子であるポリエチレングリコール(PEG)と環状分子であるラパマイシンのロタキサン形成についてキャッピング分子の設計や反応条件の検討を繰り返し最適化することによって、昨年度よりもさらに効率よくロタキサンを単離生成する方法を見出した。また、頭頸部がん細胞(HSC-2)に対する細胞内動態の確認を実施した。In vivoの実験では新たにHSC-2を皮下へ移植した担がんモデルマウスを作製し、単回での最大投与量の決定、複数回投与時の投与スケジュールの決定などを経て、本研究でのロタキサン分子にて有意に腫瘍の増殖を抑制できることを確認している。今後、生理学的パラメーターなど副作用に関するデータやin vivoでのオートファジー制御の根拠ともなり得る採用機序に関するデータを取得する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、担がんモデルマウスを用いたin vivoでの治療効果に関する実験を中心的に展開し、全身投与による腫瘍特異的なオートファジーのONについて、そのPOCを取得するに至っている。In vitroやin vivoでのシグナリング確認の実験も予想以上に順調に進んでいる。一方でバフィロマイシンに関しては、COVID-19の影響により市場価格が高騰するなど入手困難になっていることが懸念されている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は今年度に得られた知見をさらに強化するためにin vitro実験の再現性を確認すると同時に腫瘍周囲の組織でのラパマイシンの機序についてウエスタンブロッティングやPCRを用いながら詳細に調査する。
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