研究課題/領域番号 |
21K18326
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
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研究分担者 |
久保木 タッサニーヤー 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (20526834)
江端 宏之 九州大学, 理学研究院, 助教 (90723213)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | 細胞メカノ活性化 / 非一様力学場 / 細胞内部応力ゆらぎ / メカノバイオロジー / 非定住運動 / 内部応力ゆらぎ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、非一様力学場環境中を運動する細胞において顕現する、細胞の生存・増殖・運動性などの諸機能の増強現象に着目し、その系統的操作技術を開発し細胞操作工学の新たな基材設計分野を開拓することを目的とする。非一様力学場を非定住に運動する細胞では内部応力ゆらぎが増幅される結果、細胞の健常活動に関与する遺伝子群の発現が広範に活性化されることを我々はこれまでに独自に見出している。非一様力学場上での細胞の自発的運動は細胞内部応力の非平衡度の増大とともに細胞をより健常化し、その機能強化に寄与する(メカノ活性化効果)。本研究ではこの現象の系統的制御、原理解明、および実用展開の開拓に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、非一様力学場環境中を運動する細胞において顕現する、細胞の生存・増殖・運動性などの諸機能の増強現象に着目し、その系統的操作技術を開発 し細胞操作工学の新たな基材設計分野を開拓することを目的とする。研究代表者は最近独自に、非一様力学場を非定住に運動する細胞では内部応力ゆらぎが増幅 する結果として、細胞の健常活動に関与する遺伝子群の発現が広範に活性化されることを見出した。『非一様力学場上での細胞の自発的運動自体が細胞内部応力 の非平衡度の増大とともに細胞をより健常化し、その機能強化に寄与する(メカノ活性化効果)』。本研究ではこの現象の系統的制御、原理解明、および主に間葉系幹細胞(MSC)の治療有効性増強を踏まえた実用展開の開拓に取り組む。 2023年度第3年次は、初年度に見出した、MSCのメカノ活性化を強化する弾性パターニング基材の新たな四角形パターン上で培養したMSCに対して、2年次に検討した応力非平衡度の簡便な評価法を完成させた。それは細胞運動に伴う形態の長周期ゆらぎの波形特性を解析するものであり、形態変化の加速度波形をwavelet解析する手法を開発した。wavelet平均、標準変化、およびエネルギーが、細胞内部応力ゆらぎの増幅度とよく相関することを確定し、牽引力顕微解析によらずともメカノ活性化状態に至っているかどうかを形態観察だけから明らかにし得る技術を完成できた。さらに、これらの評価とともに、細胞の分泌サイトカインの評価をサイトカインアレイを用いて行い、メカノ活性化細胞のサイトカイン分泌調節の応答を系統的に確認する実験系を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メカノ活性化を促進し得る新たなパターンの設計および、メカノ活性化を簡便に評価し得るwavelet解析指標と算出アルゴリズムの確立には成功している。一方、これらに基づき細胞からの治療有効性成分の分泌の系統的評価に関しては、細胞の性状の安定化に常に大きな課題があり、より多くの試行を繰り返さなければいけないことが見えてきている。このため、予想よりも実験量および実験に必要な期間が長引くこととなり、サイトカインアレイによる分泌評価は完了には至らなかった。この点、やや遅れているものの、3年次4年次を通じて行う予定としていた実験項目でもあり、引き続き実施していくことで遅れは解消できるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
第4年次最終年度には、メカノ活性化MSCの治療有効性サイトカインの分泌評価と、さらにメカノ活性化MSCと末梢血単核細胞(PMSC)との共培養系におけるT細胞画分の変動解析を当初よりの課題としている。これまでの3年間の研究期間を通じて、上述のように新たなメカノ活性化増強パターンの設計と、メカノ活性化状態の簡便評価指標の開発の成功を踏まえて、これらの最終年度の項目を実施すること、本研究の目的としている治療有効性増強MSCの創出技術を開発できるものと考えている。
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