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疑偽経典の受容・作成・浸透から見た日本仏教の歴史と思想に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K18338
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分1:思想、芸術およびその関連分野
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

吉田 一彦  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 名誉教授 (40230726)

研究分担者 柴田 憲良  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 研究員 (30788807)
藤本 誠  慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (60779669)
高志 緑  京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (80792720)
高橋 早紀子  愛知学院大学, 文学部, 准教授 (40770904)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード偽経 / 疑経 / 中国撰述経典 / 日本撰述経典 / 十往生経 / 血盆経 / 盂蘭盆 / 彼岸 / 甘露図 / 七寺 / 文化交流 / 仏教史 / 東洋・日本思想史 / 美術史 / 文化変容 / 民衆宗教 / 疑偽経典 / 仏教土着 / 日本思想史 / 日本宗教史 / 日本文化
研究開始時の研究の概要

本研究は、「偽」というマイナスのイメージから研究上の価値が低いと誤認されてきた「疑偽経典」を、豊かな思想を伝えるテキストととらえ直し、その思想作品としての価値を解明するとともに、それらが日本および東アジアの社会、文化に果たした役割を明らかにしようと企図するものである。本研究では、日本に仏教が土着していった様相を、疑偽経典の受容、作成、浸透に着目して考察し、そこから日本仏教の歴史と思想の特質を考究する。

研究実績の概要

2023年度は、研究打合せ会を1回、研究会(疑偽経典研究会)を2回、国内調査を1回実施した。研究打ち合わせ会では、本年度の調査、研究会の中身について話し合い、それらをどのように実施していくかについて、および役割分担などについて議論した。研究会は、第1回は6月11日、名古屋市立大学にて、内田准心「阿弥陀仏五十菩薩像と『十往生経』との関係―道綽『安楽集』と「霊山現土」を手がかりとして―」の発表と、高橋早紀子のコメント、全体討論を実施した。この回では「阿弥陀仏五十菩薩像」の思想と造形について、文献史学と美術史学の両面から考察し、偽経典『十王経』との関係や、この経典がはたした役割などについて議論することができた。著名な法隆寺金堂壁画をどう理解するかが今後の大きな研究課題であることを確認することができた。第2回は8月19日、名古屋市立大学にて、「松尾恒一「水陸斎・普度儀礼の伝承―日本華僑、香港、タイの伝承を中心に―」、上嶋悟史「「崇拝される焔口餓鬼像の誕生―宝寧寺水陸画を例に―」の発表と討論を実施した。この回では、美術史学、民俗学、歴史学の視座から分野横断的に水陸会・普度儀礼の思想およびその美術表現の特質について考察することができた。
国内調査は、富山県立山博物館および雄山神社前立社壇(岩峅寺)のご協力を得て、『血盆経』関係の史料の熟覧調査・写真撮影を実施した。関係の文書を熟覧し、さらに文書ばかりでなく、『血盆経』関係の版木についても調査することができ、多くの知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は2021年度-2023年度の3カ年を研究期間とするものであったが、1年目の2021年度が新型コロナウイルス感染症の流行年だったため、構想していた調査や、対面の研究会による意見交換・討論が十分にできなかった部分がある。そこで、研究代表者・研究分担者の打合せ会を実施し、研究期間をもう一年延長して2024年度までにすることとした。これにより、追加の調査・研究会を実施して研究の深化を目指す。

今後の研究の推進方策

次年度は、これまで実施できなかった国内調査を実施し、懸案であった対面の研究会をさらなる頻度で実施する。ただし、遠方からの参加者のため、対面&オンライン計審の研究会とし、総合討論によって議論を深める。個別の疑偽経典では、中国撰述経典と考えられる『仏説盂蘭盆経』『血盆経』『観無量寿経』『梵網経』についての分析・考察を深め、俗講との関係についてより密度の濃い理解を目指す。また、日本撰述経典についても分析・考察を深め、『仏説彼岸神呪成就経』(七寺一切経所収)について理解を深めるほか、中世神道の分野を中心に日本で創作された疑義経典についても研究を深める。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (29件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 「法界仏像」における諸形象の表象意識―キジル石窟第十七窟両像と敦煌莫高窟第四二八窟像を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      高橋早紀子
    • 雑誌名

      外村中・稲本泰生編『「見える」ものや「見えない」ものをあらわす―東アジアの思想・文物・藝術』(勉誠社)

      巻: - ページ: 219-253

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『伝述一心戒文』良祐書写本の伝来ー天文二十二年千妙寺への伝領時点を中心にー2024

    • 著者名/発表者名
      柴田憲良
    • 雑誌名

      叡山学院研究紀要

      巻: 46 ページ: 195-212

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 先進文明としての仏法の受容2023

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      『アジア人物史3 ユーラシア東西ふたつの帝国』(集英社)

      巻: - ページ: 205-290

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 聖徳太子信仰の展開と特色2023

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      播磨学研究所編『聖徳太子と播磨』(神戸新聞総合出版センター)

      巻: - ページ: 157-190

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 横曽根門流の成立と展開2023

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      同朋大学仏教文化研究所編『親鸞・初期真宗門流の研究』法蔵館

      巻: 論文集 ページ: 71-104

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『東大寺諷誦文稿』における孝子伝的記述の特質―抹消(擦消)の意味と史的背景をめぐって―2023

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      古代文学

      巻: 62 ページ: 83-99

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 日本の仏教と女性の〈救済〉2022

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      佐々田悠他編『差別と宗教の日本史(シリーズ宗教と差別2)』法蔵館

      巻: 全4冊の2 ページ: 195-215

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 聖徳太子と日本仏教2022

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      バンカル

      巻: 125 ページ: 9-14

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 古代地方寺院の性格と機能―地方豪族と住僧の検討を中心として―2022

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      史学

      巻: 91巻第3号 ページ: 1-36

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 〔書評〕小林崇仁著『日本古代の仏教者と山林修行』2022

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      説話文学研究

      巻: 57 ページ: 246-249

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 仏書としての『日本霊異記』2022

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      仏教文学

      巻: 47 ページ: 1-16

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 疫病と鬼神をめぐる論点2022

    • 著者名/発表者名
      吉田一彦
    • 雑誌名

      仏教文学

      巻: 47 ページ: 91-94

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 地方寺院と村堂2022

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      吉村武彦・川尻秋生・松木武彦編『シリーズ 地域と古代日本 東国と信越』 (角川書店)

      巻: 角川書店 ページ: 172-206

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『日本霊異記』の成立―日中の仏教説話集の編纂意識を手がかりとしてー2022

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      仏教文学

      巻: 47 ページ: 41-52

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「普度明太祖長巻」について2022

    • 著者名/発表者名
      高志緑
    • 雑誌名

      宮崎法子・森雅秀責任編集『アジア仏教美術論集 東アジアⅤ(元・明・清)』(中央公論美術出版)

      巻: 中央公論美術出版 ページ: 423-476

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 祭祀・祓と馬2021

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 雑誌名

      佐々木虔一・川尻秋生・黒済和彦編『馬と古代社会』 (八木書店)

      巻: 八木書店 ページ: 421-438

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『伝述一心戒文』良祐書写本の伝来についてー応徳元年良祐書写時点および延応二年良快加点時点を中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      柴田憲良
    • 雑誌名

      『伝教大師一千二百年大遠忌記念 平安・鎌倉の天台』山喜房佛書林)

      巻: 山喜房佛書林 ページ: 775-810

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 《普度明太祖長巻》の美術史的位置2023

    • 著者名/発表者名
      高志緑
    • 学会等名
      国際シンポジウム「五言語合璧『普度明太祖長巻』(1407年)の研究」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 古代日本の地方寺院の性格と機能―地方豪族と住僧の検討を中心として―2022

    • 著者名/発表者名
      藤本真子
    • 学会等名
      ReMo研 日本中世寺社班研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 古代日本の「孝子」受容と地域社会の法会―『東大寺諷誦文稿』を中心として―2022

    • 著者名/発表者名
      藤本誠
    • 学会等名
      古代文学会2022年度夏期セミナー
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 『伝述一心戒文』良祐書写本の伝来―天文二十二年千妙寺への伝領―2022

    • 著者名/発表者名
      柴田憲良
    • 学会等名
      第64回天台宗教学大会(於大正大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アジアにおける地天の変容2022

    • 著者名/発表者名
      高橋早紀子
    • 学会等名
      日独二国間学術交流セミナー「美術史学・考古学から見た伝統東アジアにおける「見えない」ものの変容」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 平安時代における阿弥陀の印相転換2022

    • 著者名/発表者名
      高橋早紀子
    • 学会等名
      人文研アカデミー2022 オンラインシンポジウム「日本古代中世の仏像彫刻―阿弥陀如来の変容をさぐる―」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 永楽帝の普度大斎をめぐって―「普度明太祖長巻」を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      高志緑
    • 学会等名
      疑偽経典研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「普度明太祖長巻」とその周辺―明初の仏教絵画をめぐる一考察―2022

    • 著者名/発表者名
      高志緑
    • 学会等名
      「五台山仏教文化圏における文物の生成・継承・波及」ワークショップ(京都大学)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 大徳寺伝来「五百羅漢図」に表された王権主導の依頼事業―画題の解明に向けての一試論―2021

    • 著者名/発表者名
      高志緑
    • 学会等名
      仏教史学会大会(大谷大学)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 『仏師と絵師―日本・東洋美術の制作者たち―』2023

    • 著者名/発表者名
      筒井忠仁、稲本泰生、田中健一、高橋早紀子、皿井舞、松岡久美子、桑原正明、大原嘉豊、アヴァンツィ・マリア・カルロッタ、折山桂子、柳承珍、姜素妍、苫名悠、長谷川貴信、福士雄也、有賀茜、仁方越洪輝、宮崎もも、山口奈々絵、中野慎之、星野靖隆、土生和彦(高橋早紀子共著)
    • 総ページ数
      592
    • 出版者
      思文閣出版
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『人物で学ぶ日本古代史2』(共著)、担当は「玄昉」(124-127)、「良弁・実忠」(128-131)2022

    • 著者名/発表者名
      新古代史の会編、吉田一彦分担執筆(共著)
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642068758
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] Dynamics of Interregional Exchange in East Asian Buddhist Art, 5th-13th Century2022

    • 著者名/発表者名
      Dorothy C. Wong, Jinchao Zhao, Li-kuei Chien, Hong Wu, Imann Lai, Clara Ma, Sakiko Takahashi, Suijun Ra and Tamami Hamada,(高橋早紀子共著)
    • 総ページ数
      342
    • 出版者
      Vernon Press
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-07-13   更新日: 2024-12-25  

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