研究課題/領域番号 |
21K18345
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 富山国際大学 |
研究代表者 |
佐部利 典彦 富山国際大学, 子ども育成学部, 准教授 (40817459)
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研究分担者 |
重本 祐樹 京都先端科学大学, 工学部, 特任講師 (60818376)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | アーティスト・イン・レジデンス / アート / 産業 / 文化 / 教育 / アーツカウンシル / 滞在 / クリエイティヴィティー / 人と人の関わり / アート思考 / イノベーション / 美術教育(アート教育) / 社会システムデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
【目的】アーティストが持つ思考力およびアートを社会便益に活用するための社会システムモデルの探索と提案。1)アーティストと社会の関連性の再検討→双方がWin-Winとなる社会システムの探索、2)アート思考のモデル化→組織(ビジネス、教育、行政)への実装方法の提案、を達成するための新規理論産出。【方法】日英のアーティスト・イン・レジデンスを研究対象とし、両国のアートを司る行政機関と社会システムとの関係性と併せ、文献調査とフィールドワークを主としたケーススタディ。【意義】1)学術領域として未発展な我が国の美術・芸術分野における科学的方法論の発展、2)体系的情報が少ないAiRに関する知識の開拓。
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研究実績の概要 |
研究のベースとなっている論文の著者にニューカッスルで実際に聞き取り調査を行うことができたため、イギリスでアーティスト・イン・レジデンスが行われ始めた状況が幾分か明らかになった。イギリスの芸術政策は行政主導のもとに行われてきた歴史があり、政治体制が変わるたびに変更や縮小を余儀なくされたことがある。行政と芸術文化の関わりに中でアーツカウンシルが一定の役割を果たし、現在はその状況が変わっていることが分かった。 また、現在プロジェクトのスケールや関係する国を拡大させながら、継続的に活発にアーティスト・イン・レジデンスが行われているスロベニアのアーティスト・イン・レジデンスに佐部利はアーティストとして参加し、世界の各地から集まったアーティスト、主催者、地域のスポンサー、ホストに調査を行い、様々な国のアートの状況、美術教育、主催者の考え、思い、スポンサー、ホストの思い、考え等を捉えてきた。スロベニアのプロジェクトは行政との関わりは薄く、独自のつながりで活動を継続させることができているため、今後の我々の構築モデルとなると考えている。 アートが社会でより機能することを考えた時にアーティストと職人で行われているフランス、エルメス財団のアーティスト・イン・レジデンスの成果に驚き、フランス北部のサンルイガラス工場で行われているレジデンスの調査を行い、アーティストと職人とエルメス財団によるイノベーションが起こりうる現場の状況を捉えることができた。 日本においては行政とアートの関わり方のメリット、デメリットが明らかになってきた。日本で行われたレジデンスに関わったボランティア、行政側、参加作家に聞き取り調査を行い、場所性(地域性)やそのプロジェクトの目的、関わる人によって様々な違いが生じてくることが明らかになった。これはプロジェクトの目的に合わせて最良の手段を考えることができるヒントになると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチした機関 三重県美術館、三重県総合センター、奥能登国際芸術祭、大阪アーツカウンシル、青森国際アートセンター、青森県立美術館、十和田現代美術館、松本茶舗、瀬戸市新世紀美術館、エルメス銀座、すどう美術館、霧島アートセンター、岐阜県美術館、ミラノ工科大学、オックスフォード大学、ベネチアビエンナーレ、ドッカーレ宮殿 ニューカッスル(論文著者インタビュー)ドイツ人作家インタビュー、スロベニアART CIRCLEプロジェクト オーストリアレジデンス、サンルイ、エルメスガラス工場アーティスト・イン・レジデンス調査、美濃和紙レジデンス、イギリスロンドンアーツカウンシル 「アーティストが滞在する」ということに着目し、アーティストが集合したり、滞在している現場や機関へ赴き、インタビュー調査を中心に行なった。日本における調査では主に、レジデンスを主催している、もしくは主催していた期間での聞き取り調査、レジデンスに参加したアーティストや、行政や、ボランティア等それぞれの関わった方たちをたずね、聞き取りを行なった。また、海外では、この研究の基となる論文の著者に調査するためにニューカッスルに赴いた。イギリスのアーティスト・イン・レジデンスは行政と関わりが強く、その事例では、行政において首長等が変わると、アートに関わるプロジェクトが大きく変わることがあり、活動を継続していくことが困難になる。そのため、行政に頼らず、継続的で拡大的なレジデンス活動を行なっているスロベニアのARTCIRCLE活動には、アーティストとして参加しながら、作家や企画者に聞き取り等調査を行なった。並行して、アーティストのみの滞在のアーティスト・イン・レジデンスではなく、アーティストと職人で行うレジデンスに今後イノベーションが起こる可能性を感じ取り、その調査も行なった。
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今後の研究の推進方策 |
イギリスでのアーティスト・イン・レジデンスに関しては、それが始まったころの状況を把握することができたものの、アーティスト・イン・レジデンスはいつ、何の目的でどこで始まったのかアーティストに対するお金の流れはどのようなものだったのか、戦争や産業革命時にアートが国にどう扱われ、アーティストや人々はどのように考えていたのか等まだ不明なことが多々ある。論文著者の関係者が日本に居住されているとのことで、聞き取り調査に行く。また、文献調査を中心にイギリスでのアーティスト・イン・レジデンスを中心とするアートプロジェクトについて研究を進める。 アーティストが滞在することで社会に益をもたらすことをより明確にし、アーティストが社会で機能するモデルを産業、教育、文化の面から実践を伴って検証したいと考えている。その際、行政との関係が薄い、スロベニアの事例は今後の参考になると考えているため、スロベニアでのプロジェクトについても注視していく。佐部利は具体的にはアーティストとしての役割をもって幼稚園教育に入っている、調査の中で、アーティストが学校や幼児教育機関に派遣されるプロジェクトについて調査し美術教育の本質の部分で教師や保育士には支援できないことをアーティストが行えている事例に触れ、自身も関連する幼児教育機関で年間を通して活動するプロジェクトをたちあげ、学生と共に実践を始め、効果を得てきている。効果を明確にしつつ、アーティスト・イン・レジデンスを核にしたプロジェクトの実施にについて関係してほしい方々との対話をおこなっていく。また、この研究調査を含む旅や、参加しているアーティスト・イン・レジデンスの状況がとても興味深く、面白いので、この内容を多くの人に知ってもらうべく文章化していくことを行う。
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