研究課題/領域番号 |
21K18346
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野崎 泰伸 立命館大学, 人間科学研究科, 非常勤講師 (80469113)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 倫理 / 障害者 / 動物 / インターセクショナリティ / 新型コロナウイルス / 生存 / 障害者の個人史 / 反出生主義 / 生の価値 / 障害学 / 倫理学 / 社会運動 / 生の肯定 |
研究開始時の研究の概要 |
現代における倫理学は、障害というテーマをも扱うが、その多くは障害という事象を捉え 損ねている。また、障害というテーマを学問横断的にとらえる障害学という学問は、社会 学的な要素が強く、倫理に関する研究は多くはない。これは、障害者の生存を、倫理学が うまく捉えきれていないことにその原因があると考えられる。そこで、本研究は、障害者の生存を描き、その事実に即した形で倫理学理論を構築することで、障害学と倫理学とを架橋する一つの試論を展開することをその目的とする。本研究で得られる知見によって、障害者の生存と倫理学理論との往還はもとより、障害者問題における倫理学的考察の新たな枠組みを析出していく。
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研究実績の概要 |
(1)相模原事件に関して、①優生思想の観点から、②障害者の地域生活の観点から、③障害の社会モデルについて、④死刑についてそれぞれ説明することによって、「自分ごと」としてとらえられるように「「自分ごと」として相模原事件を考える」を執筆した(生田武志・山下耕平編『10代に届けたい5つの"授業"』,大月書店,147-187)。
(2)立岩真也『人命の特別を言わず/言う』(筑摩書房,2022年)について検討し、この本が分析している障害者の生と動物の生に関する一貫した議論とは別様に、一貫した議論を「立岩真也『人命の特別を言わず/言う』を読む」で模索した(『現代生命哲学研究』第13号 (2024年3月):113-128)。
障害学と倫理学とを架橋する試みを行うにあたって、障害者の生をめぐって、何が倫理的な問題なのかを明示する必要があるが、それを(1)で行った。ここで指摘した問題群が、まさに「自分ごと」としてとらえられるかどうかが、私は重要な点の一つであると考えている。その点を、従来の倫理学は決定的に見落としているのではないか。また、(2)では、立岩真也の議論がどれほど重要なのか、動物倫理学を研究している者は理解する必要があると述べた。そのうえで、立岩の議論に足りていないものを模索していくと、立岩とはまた別の一貫性を求めざるを得ないと述べた。立岩の議論が一貫していないのではなく、そうではない一貫性を探ることにより、二つの道に開かれることを示したということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インターセクショナリティの観点から、障害者問題を検討できた。そのなかでもとくに、現在研究が活発に行われている批判的動物研究の観点をも取り込み、障害者と動物に関する倫理的研究を行うことができた。 しかし、障害とその他の交差性(人種、民族、ジェンダー、不登校、貧困など)についての分析ができなかった、
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況でも述べたとおり、障害とその他の交差性の問題については「「自分ごと」として相模原事件を考える」で軽く触れただけであり、今後の研究課題の一つとして挙げられる。それが、障害学と倫理学とを架橋する課題となってくる。科研費は終了するが、継続して研究していくつもりである。
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