研究課題/領域番号 |
21K18391
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (10451395)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アイヌ / 観光 / ツーリストアート / 物質文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「アイヌ」という主題を巡って多様なアクターが交錯するモノづくりの現場について、その過去と現在を重ね合わせることにより、多文化共生の進展に寄与するための新たな研究アプローチを探索する。とりわけ、昭和期の北海道観光ブームのなかで制作された「アイヌ」に関連する商品(土産品)が生まれた当時の状況と、アイヌ文化への関心が高まり、アイヌに関連する商品が急増している近年の状況とが相似しているという意識のもと、過去と現在の状況を比較・往還しつつ研究を実施する。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス蔓延の影響は大きかったが、秋以降には現地調査が可能となった地域や関係者もあらわれ、段階的にではあるが調査研究を進めることができた。 (1)昨年度にひきつづき、昭和期の北海道観光ブーム時に作られた「アイヌ」に関連するお土産品に関するデータ収集・整理をおこなった。石川県立歴史博物館で開催されたアイヌ文化展における「アイヌ」の観光みやげに関する展示にも協力した。(2)「アイヌ」に関連する商品について、近年商品開発された商品を中心に情報を収集した。とりわけ、平取町による二風谷アイヌクラフトプロジェクトにおいて開発された商品について情報を収集した。(3)昭和期の北海道観光ブームの中心的な地域である北海道東部(阿寒湖、川湯、知床など)において、当時を知る人々に聞き取りをおこなった。(4)昨年にひきつづき、コラボレーション等によって新た生まれた作品や商品に関わった作り手やオーガナイザー等への聞き取りをおこなった。 今年度は北海道内でのフィールドワークも実施できたことから、北海道観光ブーム時の実態についての把握が進んだ。なかでも観光地でホストとなる人々にとって、北海道内(時には道外)の複数の観光地を巡るように転居(移動)した経験は珍しいことではなく、そのことを前提に研究を進める必要性が明らかとなった。また、近年盛んとなってるコラボレーションにも予算、規模、目的は様々である、それぞれのコラボレーションの目的等を把握したうえで、分析が必要なことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度よりは、新型コロナウイルス蔓延の調査研究への影響は大幅に解消されたが、コロナ禍以前の状況とはいえず、先方の意向等もあり当初の計画どおりには実施できなかった。そのため、テレビ会議システム(ズーム)等を用いてインタビューをおこなうなどの措置を講じた。 秋以降には、段階的に現地調査を実施することができたが、休業している店舗や知見を得ていない人々へインタビューを依頼することは困難であった。そのため、文献調査およびインターネット等をもちいた情報収集が調査研究の中心となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、ここ数年に実施されたアイヌ工芸と異分野とのコラボレーションについて焦点を当てて調査研究を実施する。コラボレーションでは、その実質を担う当事者が最も重要なアクターであるが、そのコラボレーションをオーガナイズする人々も極めて重要となる。オーガナイザーとして関わるアクターも、個人、企業、行政など多様であることが明らかになったため、その点に特に留意して研究を進める。 また、コロナ禍下で充分に実施できていない昭和期の北海道観光ブームに作られた土産品およびそれに携わった人々への聞き取りも実施する予定である。
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