研究課題/領域番号 |
21K18395
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (00378548)
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研究分担者 |
長橋 良隆 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (10292450)
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | タービダイト / ハイパーピクナイト / 帯磁率異方性 / マイクロXRF / 強震動 / 湖沼堆積物 |
研究開始時の研究の概要 |
内陸における強震動の地層中の記録は,過去の海溝型巨大地震や内陸直下型地震の震源・規模の解明,また活動度や地域の災害リスク評価にとって重要である。特に湖沼堆積物の解析では,地震時の湖底斜面崩壊に伴うタービダイト(混濁流堆積物)の抽出が強震動履歴解明に必要である。本研究は,2011年東北地方太平洋沖地震時に発生したことが確実に判明している地震性・湖底タービダイトの「層相・粒度組成解析」「連続化学組成分析」「帯磁率異方性による古流向解析」を行うことで「地震性・湖底イベント層」の基準を作る。これに基づき,湖沼堆積物から地震イベント層を簡便に抽出・識別できる手法を確立する。
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研究実績の概要 |
今年度は,引き続きイベント堆積物の特徴化と帯磁率異方性による古流向解析のため,福島県猪苗代湖の湖底堆積物に見られる2011年東北地方太平洋沖地震時のタービダイトと湖外から流入した磐梯山1888年噴火に由来するハイパーピクナイトの試料の定方位採取を実施した。猪苗代湖の水深70 m以深の10地点において,湖底堆積物の極表層20cmから50cm部分を採取した。 また,昨年採取した福島県猪苗代湖の水深85m以深の7地点で採取した柱状試料について,半割して記載を行い,2011年地震タービダイトと1888年噴火に由来するハイパーピクナイトを確認した。採泥管から柱状の試料を取り出す際には,一旦,採泥管を横倒しにして,コアの底部から押し出す必要があり,この際に変形が生じ,帯磁率異方性による古流向解析に影響が及ぶ可能性がある。そこで,2重にした採泥管を立てたまま,柱状試料を縦に半割する方法を見出した。イベント層とそれ以外のバックグランド堆積物(湖底粘土)について,それぞれ1ccキューブと7ccキューブを用いて帯磁率異方性測定用の分取を行った。新潟大学災害・復興科学研究所所有の帯磁率異方性測定器(Agico社製Kappabridge)を用いて,2011年タービダイトと1888年ハイパーピクナイト,さらにバックグランド堆積物の帯磁率異方性を測定した。タービダイトとハイパーピクナイトからは粒子の定向配列を示すデータを,バックグランド堆積物からは懸濁浮遊からの沈降によるランダムファブリックを示唆するデータを得た。これらの成果の一部は,日本火山学会および国際火山学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた地点での採取はほぼ実施できた。また,イベント堆積物とバックグラント堆積物の帯磁率異方性のそれぞれの特徴を予想通り捉えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,採取した柱状試料の堆積物記載を行い,粒度分析・帯磁率異方性測定用の個別試料を分取し,分析を行う。また,前回いくつかの地点では,底質により採取が困難であったため,錘を追加して採取を試みたが,うまくいかなかった。次年度は錘に羽根を取り付けるなどの加工をし,採取を試みる。
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