研究課題/領域番号 |
21K18397
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀 和明 東北大学, 理学研究科, 教授 (70373074)
|
研究分担者 |
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 教授 (80348888)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 流域 / 河道 / 河相 / DEM / 連結性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,一級水系の源流から河口までを対象に,縦断形や平面形といった河道形態とそれを規定する流域特性(地形や地質,気候,植生)との関係を定量的データにもとづいて検討し,流域を総体的に捉える.多発する近年の水害に対し,流域治水への転換が謳われるようになってきたが,その実現には,個々の流域特性が流域住民に広く理解される必要がある.また,地形学の大きな課題に流域の地形発達シミュレーションの構築があるが,それに必要な地形変化速度などのパラメータは満足に得られていない.本研究は,こうした社会のニーズや地形シミュレーションのような学術的課題の解決に対し,流域に関する基礎的かつ重要な知見を提供しうる.
|
研究実績の概要 |
本研究は、一級水系の源流から河口までを対象に、河道の縦断形・平面形態と流域の地形や地質、降水量、植生、人工構造物の分布との関係を、GISを用いた空間解析や現地調査にもとづいて検討し、河道形態の特徴や流下方向への変化、それらを規定する要因を総体的に議論する。 今年度は、縦断方向の連結性に影響を与える人為的構造物(橋、鉄道、ダム、堰、送電線など)の分布を調査した。その結果、河川横断構造物のうち最も多いものは、橋(道路含む)で7376、次いで堰2626となった。構造物総数は約13000で、河川中心線の長さ(以下、流路長)の総計約11614 kmを考慮すると、1 km当り1.12となった。河川間を比較するため、構造物数/流路長を考えたところ、流路長140 km程度までは流路長当たりの構造物数は減少傾向にあった。北海道や東北地方を流れる河川は1 km当たりの構造物数が1以下となっているものが多い。一方、鶴見川や菊川、大和川、本明川といった流路長が短い河川においては1 km当たりの構造物数が3を超えていた。 研究期間全体を通して、河川中心線と国内全域で整備済の10mDEMとを重ね合わせることで、従来よりも詳細な河川縦断形の作成が可能になった。また、作成した縦断形について、とくに、下流部に注目したところ、多くの河川において勾配の急変(遷緩点)がみられ、その標高は10 mあるいは5 m付近に集中していることがわかった。河床堆積物データと河川縦断形との関係をいくつかの河川について検討した結果、勾配の急減が生じている河川では、遷緩点付近で代表粒径の急減が認められた。勾配の急変がみられる標高を考慮すると、勾配や粒径の急減は海進にともなうバックウォータエフェクトを反映している可能性がある。また、本課題の遂行により、河川下に分布する沖積層との関係、河床と河岸との連結性についても新たな課題が見えてきた。
|