研究課題/領域番号 |
21K18402
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (20528989)
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研究分担者 |
上野 大輔 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (20723240)
駒木 伸比古 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (60601044)
近藤 友大 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50758422)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | dusung / マルク州 / アンボン島 / 有用樹木 / 空間的配置 / 選択要因 / GIS / 里山・里海 |
研究開始時の研究の概要 |
インドネシア東部に位置するマルク州では、古くからdusungと呼ばれるアグロフォレストリーで有用樹木や主作物が生産されてきた。多様な有用樹木・作物が空間的に配置・組み合わされ、かつ経済的・自給的利用が長期間安定的に併存してきたdusungは、世界的にみても稀有な形態のアグロフォレストリーである。しかし、dusungの維持機構や社会的・環境的役割などに関する包括的な研究がない。そこで、dusungにおける有用樹木・作物の選択要因、それらの空間的配置、長期間持続的に利用可能な要因、漁民のdusungに対する認識などに関する現地調査を行い、dusungの全容解明を試みる。
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研究実績の概要 |
インドネシア・マルク州および東南アジアを含む国内外のアグロフォレストリーに関する文献調査を引き続き行った。また、昨年度選定したインドネシア・マルク州・アンボン島の調査対象村落において、2023年10月に数十世帯に対してdusungに関する農業経済学的な聞き取り調査を実施した。そして、dusungを保有する複数世帯の区画において、現地協力者とともにdusungの樹木構成に関する予備的な調査を行った。それらの結果をもとにして、調査対象世帯を一つ選定した。さらに、2024年1月に調査対象世帯が保有するdusungの2区画のうち、里から徒歩で3kmほど離れた1区画において、すべての有用樹木・ヤシ類の樹種(15科24種、総計306本)、樹高(最小1.3m、最大47.9m)、胸高直径(最小0.3cm、最大171cm)、樹齢(最小2年、最大約200年)、植栽/自生(134/170、不明2)に関する記録を行った。加えて、レーザー距離測定器やドローンを活用し、測量(位置の緯度経度の取得)を行った。その結果にもとづき、GIS上で有用樹木・ヤシ類の分布に関する地図化ならびに区画内の比高分布の描画を行うことができた。研究代表者・研究分担者・現地協力者とで調査結果について深く議論し、来年度は里に隣接する条件の異なる1区画において、すべての有用樹木・ヤシ類の樹種、樹高、胸高直径、樹齢、植栽/自生に関する記録ならびにレーザー距離測定器やドローンを活用した測量を行うことを決定した。研究成果については、国際誌で査読付き論文を1件公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究はインドネシアにおける現地調査が必須となるが、2021年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、調査許可の申請が一時停止しており、調査許可の取得ができず、また現地調査を実施できなかった。2022年度は調査許可を取得できたとともに、予備的な調査を行い、調査対象村落を選定できた。そして、2023年度は現地調査を2回行えたことから、今年度については「おおむね順調に進展している」といえるが、研究計画が1年ずれてしまっているため、全体的には「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
インドネシア・マルク州および東南アジアを含む国内外のアグロフォレストリーに関する文献調査を引き続き行う。また、インドネシア・マルク州・アンボン島の調査対象世帯のdusungにおいて、海から山までを連続した一つの「生活を支える圏域」という視点のもと、調査研究を行う。具体的には、昨年度とは条件の異なる里に隣接する1区画において、すべての有用樹木・ヤシ類の樹種、樹高、胸高直径、樹齢、植栽/自生に関する記録ならびにレーザー距離測定器やドローンを活用した測量を行う。その結果をもとにGISを用いて有用樹木・ヤシ類の分布図を描画し、傾斜度や傾斜方向による分布傾向の特徴などを検討する。さらに、昨年度の調査結果と比較し、里からの距離が異なる2区画の樹木構成の類似点・相違点を明らかにする。加えて、有用樹木・ヤシ類の栽培管理・選択要因・生産量・自家消費量・販売量などについて、過去から現在までの変遷に関する聞き取り調査を行うとともに、現地の統計資料を収集・分析し、調査対象の村落や世帯、そしてdusungそのもののアンボン島における社会経済的な位置づけを解明する。研究代表者・研究分担者・現地協力者によるオンライン研究会で調査結果について討論し、それらをもとにして国内外の学会で随時研究発表を行い、学術誌への論文投稿を目指す。
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