研究課題/領域番号 |
21K18406
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
岡橋 秀典 奈良大学, その他部局等, 特別研究員 (00150540)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 森林政策 / 森林管理システム / 地籍調査 / 地籍問題 / 林業 / 森林信託 |
研究開始時の研究の概要 |
今日、日本の森林政策は明治以来の大変革期に入っている。林業の成長産業化と森林資源の両立を図るべく、森林環境税を投入して「新たな森林管理システム」を構築しようとするものである。この構想自体は理にかなっているが、現実には山林地籍の未整備問題が立ちはだかっている。本研究はこの不都合な真実である山林の地籍問題を正面から捉え、地籍調査の進捗プロセス、地籍調査の進捗と他の地域要素との関連を中心に、その実態について探索的なアプローチを実施する。さらにその成果の上に立って、地域的に異なる地籍調査状況を踏まえた森林管理モデルのあり方を提示する。
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研究実績の概要 |
2000年代に入って日本の森林政策には明治以来の大変革と言って良いほどの大波が到来している。政府は林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るため、新たな森林経営管理制度の下、森林環境税の資金を投入して「新たな森林管理システム」を構築しようとしている。しかし、この政策には対象となる山林の地籍が未だ十分整備されていないという大きな陥穽が存在する。ここで言う地籍とは、人における戸籍と同様、一筆ごとの土地について、所有者、位置、境界、面積などの基本的な重要情報を示したものである。特に、位置、境界、面積を地図上で確定することが重要となるが、日本では、登記所の公図は、明治期の地租改正に伴い作られた図面に依拠するものが少なくなく、境界、面積が不正確なものが多い。この問題の克服が上記の政策の成否に大きく関わる。それゆえ、本研究はこの山林の地籍問題に学術的な観点から挑戦してその実情を明らかにするとともに、日本の森林政策の動向も把握して、相互の関係を検討し、今後の施策に貢献することを目指す。 本研究では、①地籍調査の進捗プロセスと要因の解明、②地籍調査の進捗率と他の地域要素との関連の検討、③地籍調査状況を踏まえた森林管理モデルの構築、以上3つを課題に掲げた。 2023年度は、①について地籍調査の進捗が著しい県として前年の和歌山県に続き愛媛県を対象に聞き取り調査と資料収集を行い、地籍調査の進捗プロセスと、その進捗規定要因について検討した。その成果は日本地理学会の秋季大会で発表した。特に民間の受託業者の聞き取り調査によりその役割について考察を進めることができた。②については、地籍調査の都道府県格差の要因について、上記県レベルの調査の進捗により仮説の精緻化を進めることができた。2024年度は、①と②について研究を取りまとめ成果発表を行うとともに、③について現地調査を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の遅れを取り戻すために愛媛県の調査に注力し多くの成果を上げえたが、そのほかの県の補足調査が行えなかった。また森林管理について予定していた現地調査ができず、この方面の研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
愛媛県以外の地籍調査先進県の補足的調査を実施し、都道府県間の地籍調査進捗の格差の要因について考察をまとめるとともに、当初計画に従い森林管理の研究を予定していた岡山県西粟倉村および静岡県の現地調査を実施する。最終年であるので、研究全体の取りまとめに注力し、学会発表や論文の形で成果の発表を行う。
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