研究課題/領域番号 |
21K18412
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
濱田 陽子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50368586)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 調停 / メディエーション / 非暴力コミュニケーション / Nonviolent Communication / 民事調停 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、交渉促進型調停における技法では必ずしも当事者間の直接交渉の回復支援を実現していないとの批判を克服し、当事者の情動反応を解消して、当事者間の直接交渉を支援する新しい調停モデルの構築を試みる。当事者の情動解消支援および対話回復支援のために非暴力コミュニケーション(NVC、Nonviolent Communication)の手法を分析、導入して、事実中心の法的な調停と心理学に基づく対立解消とを融合させる手がかりを得る。
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研究実績の概要 |
2023年度は、非暴力コミュニケーション(NVC、Nonviolent Communication)によるメディエーションに関して、2021年度後半から2022年度にかけて実施した調査結果に基づいて、その特徴を明らかにした。その結果、非暴力コミュニケーションは、感情という人間に普遍的に備わっている現象を契機に本人の自己理解と相手方との相互理解を促すことで、紛争当事者間における対話回復、関係改善、問題解決を模索するプロセスであること、および、非暴力コミュニケーションの問題解決に向けた思考の構造が、従来のいわゆる交渉促進型メディエーションのそれと類似しており、非暴力コミュニケーションの考え方を従来型のメディエーションにおいて活用しうることが明らかになった。もし非暴力コミュニケーションの知見を上手に取り入れることができれば、とくに問題解決型の交渉促進型メディエーションにおいて指摘されていた当事者の感情の取扱いについて、これらを交渉過程と解決の模索過程に組み込んだ、より人間的で現実的なメディエーションのプロセスを構築できる可能性がある。しかしながら、これを実現するためには、非暴力コミュニケーションによるプロセスが当事者にどのような変容をもたらし、また調停プロセスにおいてどのような機能を果たしているのかといった点等に関する考察が不可欠であり、これらが今後の検討課題となることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、メディエーションおよび非暴力コミュニケーションを活用した対話回復、関係改善、問題解決に関する海外での研究・実践の調査、資料収集、インタビュー等を予定していたが、新型コロナウイルス感染症や急激な円安等の影響でこれを実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
非暴力コミュニケーションの当事者および調停プロセスへの影響等を解明するために、2023年度に開始した非暴力コミュニケーションに関する計量的研究の検討・分析を継続して行う。しかし、当該研究データが必ずしもメディエーションを想定した場面で収集されたものではないことから、非暴力コミュニケーションを用いたメディエーションの実践例に関する調査が不可欠である。そこで2024年度には国内での実践例の有無を再度詳細に調査するとともに、海外での実践例の収集にも努める。
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