研究課題/領域番号 |
21K18417
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 (2023) 東北大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
東島 雅昌 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (10756349)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 中央銀行 / 比較政治経済学 / 金融政策 / ジェンダーバイアス / サーベイ実験 / 量的テキスト分析 / 経済政策 / 計量テキスト分析 / テキスト分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中銀研究で用いられてこなかったサーベイ実験と量的テキスト分析を導入し、比較政治経済学の地平を拓く。第一に、中銀と市民の金融政策をめぐるコミュニケーションの有効性がどのように変化するか、中銀家のジェンダー・経歴・政策選好を考慮に入れたコンジョイント実験をつうじ実証分析をおこなう。第二に、中銀法の量的テキスト分析をつうじて、伝統的金融政策を超えた中銀の政策権限の測定を可能にする多国間データを構築する。為替介入・流動性提供・民間銀行の監督/監視・決済機能提供といった中銀の多様な政策権限を射程に入れ、中銀の政策権限とポピュリズムの関連を探ることで、現代の中央銀行の起源と帰結の分析をおこなう。
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研究成果の概要 |
本研究課題は(1)中央銀行と市民の間の金融政策をめぐるコミュニケーションの有効性がどのように変化するか、(2)中銀の権限がどのように生まれるのか、について、サーベイ実験・量的テキスト分析・多国間統計分析を併用し分析した。日本を対象にしたサーベイ実験では、中銀の金融政策の信憑性にジェンダーバイアスが関与することがわかった。103カ国の中銀法を量的テキスト分析で分析した結果、為替政策・通貨供給・財政安定と規制・金融政策などの多様な政策領域で国ごとに言及率の違いがあることが判明した。また民主主義であればあるほど、為替政策権限や金融政策権限を統計的に有意に中央銀行に移譲しない傾向にあることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「失われた20年」とアベノミクス推進、2008年大不況、そして新型コロナウイルスによる世界同時不況を経て、中央銀行(中銀)が経済政策に果たす役割と人々の注目は、かつてなく大きくなっている。他方、ポピュリズムの台頭により、独立した中銀が経済政策を決定することを批判し、政治家に有利な利下げを実施するよう介入と圧力を受けることも多くなった。この「専門知と民主主義のジレンマ」の理解を深める上で、本研究課題で得られた研究成果は死すると考えている。今後、出来上がった論文を随時英文査読誌に投稿し、最終的な研究成果を公刊するための作業を進めることで、中央銀行をめぐる政治経済学研究に一石を投じる。
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