研究課題/領域番号 |
21K18423
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
倉田 久 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (20508428)
|
研究分担者 |
田中 正敏 松本大学, 総合経営学部, 教授 (00252883)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | サービス・マネジメント / 顧客満足 / 定型業務 / 数理モデル化 / サービス品質 / 義務的サービス / サービス |
研究開始時の研究の概要 |
代金支払いなどの定型作業に対しても,従業員による的確なサポートと機械からの迅速なサービスを顧客自身が自由に融合できる場合には,今までにないサービス体験を実現できるという発想の元,オムニサービスシステム(OSS)と呼ぶ義務サービスの新たな設計コンセプトを創出する.本研究は省人化や効率化のみを目指すのでなく,必要に応じて助けてくれるスタッフを絶妙に配置することで,生産性向上と顧客満足が両立できるサービス設計を開発する.そのうえで,顧客感動といった高品位のサービス体験が元来期待されていない義務的なルーチンサービスに対しても OSS というコンセプトを通して感動を与えられるようにする.
|
研究実績の概要 |
令和4年度は全3年計画の当該科研費プロジェクトの2年目であり,当初の計画書における「課題2:OSSの設計支援モデル構築」を主として実施した.ここでのOSSとは,本プロジェクトが提案する斬新な対人サービスシステムのことであり,必要に応じて従業員と機械を適宜組み合わせて顧客にとって最善のサービス利用を可能にするシステムを意味する.昨年度取り組んだ基本数理モデルを拡張する形で,令和4年度ではOSSのみに限定せず広く対人サービスの問題を対象にしたモデル構築と分析に努めた.そのうえで一部成果の学術大会報告等で発信した. 学会発表に関しては研究代表者と分担者の計2名で,日本生産管理学会の大会にて計2本,日本経営工学会の大会で計3本の発表をおこなった.また国際大会については,令和4年8月にオンライン開催されたP&OM 2022国際大会にて計3本の学会発表を行い,うち2本は招待発表である.一般的に聴衆からの反応は良く,特に令和5年3月の日本生産管理学会でのITなどの技術ではなくサービス開始時刻の前倒しという単純なオペレーション操作でサービス施設の混雑緩和を目指すモデル分析の発表は聴衆から好意的に評価され,令和5年度中の論文発表を目指した活動は既に開始されている. 論文発表については研究分担者が日本生産管理学会の英文学会論文誌に1本発表し,令和5年1月に時点で研究代表者が関与する論文が日本経営システム学会の学会誌英文号に採択された(当情報入力時点では未刊行). 上記の発信活動と並行して,当プロジェクトの研究擦り合わせと活動方針決定の運営ミーティングが長野県松本市と神奈川県横浜市で実施された.その際には次期令和5年度の活動計画,及び学術大会で報告された研究の最終的な論文化とその投稿の計画がなされた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の2年目である令和4年度には,(1)数理モデルの構築;(2)サービス科学の先行研究調査;(3)中間成果発信と有識者からのフィードバックの獲得,といった情報収集とより具体的なモデル構築と分析に注力した.緩和の方向に向かっているとは言えCovid-19影響の為,実地調査や海外渡航は避け,学術大会参加と文献・データベース調査を中心に活動した. 具体的には,当プロジェクトのメンバー2名が深く関わっている日本経営工学会や日本生産管理学会の大会での発表や意見交換を行った.結果,令和4年度には論文採択2本,国内大会発表5本という成果を残せた.海外渡航は控えたが,令和4年8月にオンライン開催されたP&OM 2022国際大会では計3件のサービスマネジメント系の国際学会報告も実施でき,そのうち2本は招待発表となっている.更に,令和5年3月の生産管理学会全国大会での報告は他の参加者からの反響も大きく有意義であった.また研究分担者とは普段からオンラインでの意見交換を実施し,令和5年2月には対面での打ち合わせも実施した.以上の活動は当初の研究計画の準じたものであり順調な進捗であるといえる. 前述の通りCovid-19の為,出張を伴う学会参加や会議・イベントへの参加に制限が掛かり,当初の計画通りに行かなかった部分があったことは否定できない.ただしオンライン活用などによる必要な情報入手,そして対面発表として具体的なモデル分析成果を公表できた点に,プロジェクトの遅れに関する懸念は残らない.結論として最終年度令和5年度には学術論文として本研究の成果が体系づけられると期待できる.
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は本研究プロジェクトの3年目であり,当初の科研費申請書に記載された課題3の「OSSの社会発信」に注力する.本プロジェクトは数理モデル分析を分析手法としているため,モデル構築は本研究の最重要項目である.その意味から課題2の「OSSの設計支援モデル構築」を効果的に発展させることが課題3の成果品質に繋がるので十分な努力と注意をはかりつつ,研究活動を進めていく予定である. 具体的には,過去2年間の間に得られた情報や着想を統合する形で以下の3課題の遂行をめざす: (1)[OSSを表現する数理モデルの完成] 過去2年間の間の構想や中間報告からのフィードバックを元に,ヒトと機械によるサービス品質が顧客効用とサービス効率性に与える影響を分析できる数理モデルを完成する. (2)[OSSシミュレーション設計支援モデルへの移植] 項目(1)の数理モデルを,現実のパラメータを組み込むことで経営支援が出来る形に改良する.つまり応用志向のモデルを構築することであり,シミュレーションの応用を想定している. (3)[分析結果の社会発信] 第1の発信方法は学術論文の掲載であり,第2の発信は国内外の学術大会やワークショップでの研究成果報告である.これらの発信には,学術経験者や実務からのフィードバックを事前に得たうえで実社会への有効度を考慮した成果を公開する. 特に,研究代表者が参加する横浜国立大学ビジネスシミュレーション研究拠点の活動を相乗りする形での社会発信を計画する.具体的には,年2回開催されるYBGユーザ会議での成果報告である.また,春秋2回開催される日本経営工学会と日本生産管理学会での発表を計画する.更には12月に沖縄県で開催されるACMSA 2023国際大会での海外発信も計画している.
|