研究課題/領域番号 |
21K18425
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
武田 公子 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80212025)
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研究分担者 |
平子 紘平 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 特任助教 (10562621)
板谷 智也 金沢大学, 保健学系, 助教 (10765192)
篠原 もえ子 金沢大学, 医学系, 准教授 (20584832)
柳原 清子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70269455)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 医療介護 / ソーシャルキャピタル / Covid-19 / 匿名ミクロデータ / パネルデータ / COVID-19 / 介護保険 / 後期高齢者 / ADL |
研究開始時の研究の概要 |
Covid-19が高齢者の社会的行動や意識にもたらした制約が、健康やADLに具体的にどのような影響を及ぼしたのかについて、アンケート調査と医療・介護データ分析とによって分析・解明していく。人々の社会的活動や意識が地域にもたらす効果については、ソーシャルキャピタル(SC)という概念装置を用いて説明されていることが多いが、我々が2019年に実施したアンケート調査でもSCを意識した質問紙を用いている。今回はこのアンケートに回答しかつ医療介護データとの突合に同意された方を対象に追跡的なアンケートを実施し、Covid-19が人々の健康やADL、あるいはSCにどのような影響をもたらしたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、Covid-19が人々の行動や交流にもたらした制約が高齢者の健康にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにすることにある。本研究が関係する研究グループでは2019年度にA市における大規模な住民生活調査を実施したが、2021年度にはこのアンケート回答者のうち、医療・介護データ等と回答との連結に同意された方々に追跡的なアンケート調査を実施した。その結果、2回のアンケート回答および医療・介護データとの連結について同意された回答を約2500件得ることができた。 アンケート全回答に関する単純集計やデータ間の突合を通じて多くのことが明らかになったが、その主なものは下記の通りである。まず、高齢者の全般的傾向として、感染拡大下で外出のみならず通院・介護サービス利用の抑制が観察され、その結果として心理面では漠然とした不安感や孤独感、身体面では筋肉量低下による体重減少が、他の年齢層より強く表れる傾向がみられた。このことは、高齢者におけるフレイルや認知症へのリスクを高めた可能性がある。 しかし他方で、外出抑制行動には個人差があり、特に就労や農作業を目的とする外出が多い高齢者は外出頻度全体の抑制傾向は弱い。そこで、感染拡大前後での外出頻度減少の有無によって、ここ4年間の健康状態の変化(長期入院や要介護化の有無)を分析したところ、外出非抑制群における健康状態維持率は有意に高かった。また、外出抑制群の方が通院頻度を減らす傾向が強く、このことが長期的には疾病・要介護リスクを高める可能性もあると考えらえる。 その他、アンケートや聞き取り等から明らかになったこととして以下のようなこともある。病院や介護施設での面会が制約されるなか、自宅での看取りを選択する本人や家族の選択の変化が観察された。また、在宅時間が長くなることで家族の紐帯が強まるとは一概に言えず、家庭内の軋轢が高まる問題も見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Covid-19感染拡大を挟む二時点のアンケート回答と、後期高齢者・介護保険の月次データを突合する作業が順調に進んだ。それを活用して研究分担者がそれぞれの視点から、高齢者の行動変化と健康状態に関する分析を進めることができた。別途研究業績欄に記した成果の他、アンケート・データ提供にご協力頂いたA市において、8月に中間的な成果発表会を開催した。そこではアンケート集計結果の全般的報告に加え、データとの連結によってあきらかになった以下のような点を重点的に報告した。第一に、アンケートや検診データの分析の結果、感染拡大前後で年齢層による体重変化に相違があることが観察された。高齢者ほど体重減少がみられ、タンパク質摂取や運動量の減少というアンケート回答との符合が観察された。第二に、医療・介護データの長期的な分析のなかで、フレイル層の健康維持率が後の年度になるほど低下している傾向が見て取れた。このことが、2017年度の総合事業導入とともに軽度向けサービスの縮小が図られたことと関連するのかどうかについては、今後さらに検証が必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度を迎え、これまでの研究成果の取りまとめを進めていく。アンケート回答や、医療・介護・検診データの連結・分析は研究分担者がそれぞれのテーマに即して詳細な分析を進めている段階である。ここまでは医療・介護データの分析とアンケート結果の突合に焦点化して作業を進めてきたが、残された課題として以下を重点的に検討していきたい。第一に、コロナ前の調査結果と比較して、高齢者の認知機能がどのように変化したか、コロナ下でのアンケート結果(コロナに対する心理的な面)と比較しつつ検討したい。第二に、コロナ前アンケートから改めてソーシャルキャピタル指標を導出し、コロナ下アンケート結果との比較を行うとともに、ソーシャルキャピタル指標に基づく対象のグルーピングを試み、このグループ間で健康状態の変化に相違があったかどうかも明らかにしていきたい。
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