研究課題/領域番号 |
21K18429
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | ネットワーク / 情報開示 / 外部性 / フィードバック / 情報設計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は外部性の下で意思決定を行う経済主体に対して、政府あるいはその他の制度設計者が私的情報を開示する問題を考える。外部性とは各経済主体が自らの行動から得る便益が他の主体の行動の有無によって影響を受ける状況を表し、そのような外部性は各経済主体を結節点とするネットワークによって表現される。本研究では制度設計者が経済主体の行動を促すことを目的とする場合に、最適な情報開示が外部性の符号や、ネットワークの形状にどのように依存するかを分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は外部性を伴う活動に従事する経済主体に対して政府やその他の制度設計者が行うべき最適な情報開示戦略について分析を行った。具体的には複数の経済主体が存在する経済を考え、それらの行動に正あるいは負の外部性が存在する状況を考える。ここで行動の外部性とはある経済主体がその行動をとることによって、他の主体が同様の行動をとる際の利得に直接的な影響を与えることを意味する。例えば同一のサプライチェーンに属する企業が立地を集約化することで利益を増加させることができれば外部性は正となる。ある経済主体の行動が他の経済主体に与える外部性は一様ではなく、理論モデルでは主体間を結ぶリンクとその方向からなるネットワークで表現される。政府が経済主体の利得に影響を与える情報‐すなわち経済の状態変数に関する情報‐を独占的に有しているとき(私的情報)、それをネットワークの結節点に位置する個々の経済主体にどのように開示するべきかについて分析を行った。予備的な分析結果として次を得た。 「経済の状態変数は正か負の2つの値をとり、経済主体間のネットワークは中核部と縁辺部からなる。また各経済主体は情報開示がないもとでは単独で行動をとるインセンティブを持たないが、ネットワーク上で隣接するいくつかの経済主体が情報開示を受け正の状態の場合のみ行動をとるならば、自らに情報開示がなされなくとも行動をとるインセンティブをもつ。このような時に縁辺部の主体にのみ情報を開示し、中核部に存在する主体には情報を開示しない開示戦略が経済主体の行動確率を最大にする。」 現在は上記予想の正しさを示し、それを拡張・一般化する段階であるが研究が滞っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究が遅れている主な理由は申請者が従事する他の研究課題との兼ね合いである。申請者は本研究と並行して理論的研究課題および実験的研究課題を他の研究者と共同で行っているが結果としてそれらに多くの時間を費やすこととなり、個人で進める本課題の進行が滞ることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の問題を含む情報開示の問題は申請者の理論的な興味の中心にあり、時機をみて研究を継続する予定である。特に2024年度に採択された科研費基盤研究課題C「Mechanism design by information intermediaries」(課題番号24K04782)では上の研究実績の記述にある政府に近い役割を果たす情報仲介者による情報開示戦略に関連する研究を行う予定であり、本申請課題の内容を発展的に含めることを検討する。
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