研究課題/領域番号 |
21K18433
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
島村 靖治 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50541637)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナッジ / 大規模データ / 政策評価 / 感染症対策 / 医療保険制度 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、行動経済学の分野において「ナッジ(少しのきっかけを与えることで行動の変化を促す手法)」が注目を集めている。本研究では、新興国において人々の健康に関連した幾つかのナッジを活用することで、政策介入によるミクロレベルでの人々の行動変容を検証すると共に、その社会的・経済的効果を推計し、更には全国規模の家計調査データや医療データベースなどの大規模データと結合することでマクロレベルでの新たな政策評価手法の確立を目指すものである。そして、具体的な事例として新興国の筆頭であるベトナムとインドネシアの医療保険制度をとりあげ、その政策評価、主に財政面での持続可能性の検証を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、第一にベトナムのトゥア・ティエン・フエ省保健局が収集した大規模データにより新型コロナウィルス感染症の蔓延が公的医療施設の医療サービスの利用に与えた影響について分析した論文を発表している。第二にインドネシアのジョグジャカルタ市郊外で活動する医療ボランティアの行動変容に関する論文を2本まとめている。第三に、ザンビアのルアプラ州では独自調査による家計調査データを使い深井戸建設事業がもたらした健康改善効果を推計すると共に、世界的な共同研究の成果である「グローバル疾病負荷」と組み合わせた政策シミュレーションを行った論文も公刊している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ベトナムでは新型コロナウィルス感染症蔓延の前後に収集された希少な大規模データを、インドネシアではナッジ活用など学術的に新しいアプローチにより収集したデータを用い、各地域における感染症対策などへの政策提言を行っている点に社会的な意義がある。そして、ザンビアの研究では、事業の因果的効果の推計結果に基づき政策シミュレーションを行っている点に学術的意義が見いだせる。加えて、安全な水へのアクセスが限定的なアフリカ農村部において、深井戸の建設が5歳未満児の下痢症の減少、ひいては死亡率の減少につながっていることを定量的に示し当該事業の重要性を裏付ける証左を提供している点に国際的に大きな社会的意義がある。
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