研究課題/領域番号 |
21K18437
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
太田 塁 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (00338229)
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研究分担者 |
藤生 源子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (80431394)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 産業用ロボット / 労働力不足 / 自動車 / 生産要素 / 国際貿易 / 経済成長 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ロボットやAIの普及が経済、特に労働市場に与える分析は大きな注目を受けているが、既存研究はそのような労働力と代替的な生産要素の普及過程を、国際貿易を許した設定で分析していない。貿易を通じた生産財の決定は、必要とする生産要素の決定にも繋がる。これにより労働力と代替的な生産要素の普及の程度や速度は、国によって異なる可能性がある。グローバル化が深化する経済において新しい生産要素の普及過程を分析することは、労働市場等へ適切な政策を行うために必要である。本研究はこの問いに日本の産業用ロボット産業を例として分析し、AI等の新しい生産要素の普及過程に示唆をもたらすことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目標は日本の産業用ロボット産業の初期の発展に注目し、ロボットの導入決定要因や、ロボットの普及が日本経済に与えた影響を分析することである。労働力と代替的・補完的であったであろう産業用ロボットという当時の新しい生産要素の導入背景や、その影響を解析することで、昨今盛んに議論されている人工知能(AI)等の現代の新しい生産要素の普及過程や日本経済に与える影響に示唆を与えることを目的としている。
今年度は、産業用ロボット導入の背景に労働力不足があることを実証的に示す研究を行い、論文にまとめた。産業用ロボットの導入の背景には様々な理由が指摘されているが、これまで定量的な分析は行われていなかった。当論文では熟練工や単純工といった職種別の労働力不足指数を用いて、職種別の労働力不足とロボット導入との関連について実証分析を行っている。既存研究の多くが産業用ロボットの導入が経済、特に労働市場へ与える影響について焦点を当てている。一方、本研究は米国で開発された産業用ロボットが日本に導入されたのち急速に普及していった要因を明らかにすることに主眼を置いている。
日本ロボット工業会のデータによると、1970年代は自動車が金額として最も大きな出荷先産業の一つとなっている。自動車生産のオートメーション化は様々な資料より確認されており、当時の生産量、輸出量拡大に産業用ロボットは大きな貢献を果たしている可能性がある。これは新しい生産要素の利用や普及が、日本経済に与える影響を分析する上で大きな示唆を与えてくれると考えている。そのため、昨年度に引き続き、自動車産業における産業ロボットの利用方法や1970年代からの自動車生産量、製品価格に関する資料やデータの収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度に引き続き関連資料やデータ収集を行う一方、労働力不足と産業用ロボットの導入に関する実証分析を行った。また海外の共同研究者を日本に招聘し、集中的に研究を進めることもできた。本研究は、日本の産業用ロボット産業の初期の発展に注目し、ロボットの導入決定要因や日本経済の構造変化がロボット普及の変化に与えた影響を分析することが目的であり、そのために、データベースの作成、実証分析、動学モデルの構築を目標としている。今年度はデータベースが充実してきたこと、実証分析を行えたこと、動学モデルの構築について共同研究者と準備を進められたことを鑑み、おおむね予定通り進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は最終年度にあたるため、これまでの研究成果を公表しながら、計画したすべての目標達成に向けて活動を行う。特に実証分析の精緻化および動学モデルの構築を行うため、共同研究者と定期的に研究会を設け、議論を交わす。
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