研究課題/領域番号 |
21K18442
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
渡邉 真理子 学習院大学, 経済学部, 教授 (10466063)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 構造推定 / 中国 / 半導体 / 鉄鋼産業 / データ / 競争政策 / 産業政策 / 国有、民営外資の混合市場 / 公的支援および規制の競争中立性 / 半導体産業 / 中国経済 / 国有、民営、外資の混合市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、これまで記述的に行われてきた中国研究を、計量可能かつ検証可能な形のシステムとして理解する手法をもちいて、再構築することである。中国における特異な国家と企業の関係が、市場経済の質、競争上の公平性とイノベーションにもたらす影響を、計量的にとらえることを目指す。中国国内で編纂されてきた統計や年鑑の情報、サーベイ企業による市場情報、そして中国政府の政策や体制などの制度情報を用いて、中国市場の普遍性と異質性を「測る」作業を行う。
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研究実績の概要 |
中国の産業構造の特徴を実証産業組織論の手法を用いて明らかにする作業を進め、論文にまとめた。2023年度は、久保研介氏との共著論文をSSRNおよび経済産業研究所のDPとして公開した。2015年中国政府は米クアルコム社に対する競争制限行為の規律づけを世界で初めて中国政府が行った。本研究は、この介入の効果を、構造推定および反実仮想で評価した。介入による特許料の引き下げにより、米クアルコム社は、特許料収入の損失を補うためチップ価格の引き上げを行った。競合チップメーカーは、ライバルの価格上昇のため利益増を達成した。川下のスマホメーカーは、チップ価格の上昇(負)と特許料支払いの減額(正)が企業ごとに異なる効果をもたらした。一方、消費者余剰は改善し、上記の生産者余剰と合わせた社会余剰全体は改善した。 本プロジェクトの期間を通じて、中国の制度や政策と市場メカニズムの関係について、まず十全な実態情報の調査を行い、その知識をもとに限定しかつ適切な仮定のもとで経済モデルを構築し推定する複数の手法を統合して実施するサイクルを実行した。米中対立が激化する中、本研究の統合的手法の必要性が高まっていることを痛感した。 まだ同期間に中国経済の実態も大きな動きがあった。上記論文と同様の構造推定手法をもちいた研究および制度面の精査を行う研究を進めた。前科研プロジェクトの成果である鉄鋼産業に関する補助金が過剰生産をもたらす効果について、反実仮想シミュレーションによりゾンビ企業への補助金が過剰生産をもたらした効果を示す改稿を行い、投稿準備を勧めている。また、制度面の精査を行う研究として、「中国のデータガバナンス:データ取引市場の推進と国家安全の強化」(経済産業研究所DP 22-J-019)その他多数の執筆を行った。
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