研究課題/領域番号 |
21K18448
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉倫 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (90196288)
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研究分担者 |
瀧川 裕貴 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60456340)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 計算社会科学 / ビッグデータ / エージェント・ベースト・モデル / 意味 / 解釈 / 社会学 / 社会理論 / 社会学理論 / ビッグデータ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は計算社会科学と社会学理論を架橋する基盤を構築し、両分野の研究を高度化することである。このために、(1)社会学の主要社会理論のフォーマライズ、(2)それらを取り入れた計算社会科学的分析、(3)その分析によって得られた知見を用いた社会学理論の展開を行う。 たとえば、社会秩序には行為者が相互に行為を調整する行為的秩序とその調整をすべきであるという意味的秩序がある。そして両者は相互強化の関係にある。この関係に着目して、行為レベルだけでなく主観レベルでも学習するエージェントをコンピュータ上に多数生成し、その相互作用に着目するエージェント・ベースト・モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
2022年度は研究プロジェクトの成果の1つとしてSociological Foundations of Computational Social Scienceの刊行に向けて、研究プロジェクトメンバーが担当章のドラフトを執筆し、それらに基づいて議論を重ねた。その結果として得られた主な知見は次のようになる。 (1)計算社会科学の手法を社会学に本格的に導入するためには行為者の意味解釈過程を明確に取り入れる必要がある。そのために計算社会科学で開発されている、人々の解釈過程を取り入れたトピック・モデルを適切に用いることが可能性として考えられる。 (2)学校外教育が教育達成に与える因果効果について複数の処置によるモデルを機械学習(machine learning)の方法を組み合わせて明らかにした。 (3)社会学における統計的因果推論と推定における機械学習の適用可能性について、社会階層研究を例に説明した。 (4)計算社会科学において、メカニズムの解明と予測の両立が重要である。まず、メカニズムの解明は、社会現象における因果関係を理解するために必要である。たとえば、なぜある社会現象が起こるのか、それがどのような要因によって引き起こされるのか、ということを理論に基づき解明することで、社会現象と人間行動の理解に役立つ。一方、社会現象と人間行動を予測することは、メカニズムの検証だけでなく、社会科学の知見に基づく政策提言につながる。 (5)2020年1月から退任までの安倍首相に関するTwitter記事の分析から、Twitter上での世論が世論調査によって測られる世論とどのような違いがあるのかを検証した。その結果、Twitter上の世論は人々のあるイシューに対する関心と熱意が反映されたものであるために、「聞かれたから答える」意見を尋ねる世論調査とは異なる「世論」が現れていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により日本側プロジェクトメンバーとアメリカ側メンバーが対面で研究会を開催することはできなかったが、Sociological Foundations of Computational Social Scienceのドラフトを提出することで、議論を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度なので、2022年度までの到達点を確認し、Sociological Foundations of Computational Social Scienceを刊行するとともに、対面式の研究会を開催して次のステップを検討する。
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