研究課題/領域番号 |
21K18451
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
濱田 奈保子 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70323855)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 防災対応食品 / 通電加熱 / 無菌包装 / 環境負荷低減 / 環境影響評価 / 鶏肉 / 官能検査 / 品質評価 / 生鮮魚介類 / フードロス削減 / IMP / 新規加工技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、限定された季節あるいは地域で収穫された生鮮食材を常温で備蓄できるロングライフ化技術を開発することにより、フードロス削減と防災対応食品の開発を目指すことを最終目標とします。検討課題としては、開発した本技術が品質と美味しさを損なうことなく貯蔵可能な技術となり得るかについて、各食材に適した複数の品質評価と官能検査により実証すると共に、食品のライフサイクルにおいて環境負荷低減技術となり得るかについて環境影響評価により検討します。
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研究実績の概要 |
2023年度は、世界的に流通量が多い鶏肉を対象として実施しました。本研究で開発した長期常温保存技術を用いた製造過程で、原料調達から廃棄までの各段階についてCO2排出量を求め、排出されるCO2を従来のレトルト加熱殺菌技術であるレトルトパウチと缶詰の2種類の包装形態を用いた場合と比較することにより、原料調達段階から消費・廃棄に至るまでの食品のライフサイクルにおける環境影響評価を行いました。その結果、包装容器製造工程では缶詰をパウチに代替することで、CO2排出量を64%削減され、食品製造工程ではレトルト加熱を通電加熱に代替することでCO2排出量を80%以上削減できました。また、全行程における消費資源および排出量のデータを「IDEA」データベースによる特性化係数を用いて、光化学オキシダントや有害化学物質等13の環境領域について特性化を行い、缶詰食品、レトルトパウチ食品から通電加熱を用いた無菌包装食品へ変更した際の環境負荷の削減率について評価を行いました。その結果、缶詰食品から通電加熱を用いた無菌包装食品に代替することにより、環境負荷を最大約88%削減できることが明らかとなりました。さらに、官能評価では嗜好性に着目したところ、加熱方法を通電加熱に変更しても食品の嗜好性は失われないことがわかり、通電加熱殺菌食品はレトルト加熱殺菌食品と同等もしくはそれ以上の品質と嗜好性を保持していました。特に、味と後味に関して、好みの試料を高く評価した傾向が強かったことから、味、後味に着目し、加熱条件などを検討することにより、さらに嗜好度の高い食品加工技術に改善することができると考えられます。本研究結果から従来のレトルト加熱殺菌技術から通電加熱殺菌と無菌包装を組み合わせた技術へ代替することによって嗜好性を損なわずに環境負荷を削減することが可能であり、環境問題への解決に貢献できることが示唆されました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で開発した長期常温保存技術を用いた製造過程で排出されるCO2を従来のレトルト加熱殺菌技術を用いた場合と比較することにより、原料調達段階から消費・廃棄に至るまでの食品のライフサイクルにおける環境影響評価を行い、鶏肉を対象とした場合の成果について学術論文として公表できたことから概ね順調としました。
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今後の研究の推進方策 |
通電加熱したホタテ試料はレトルト加熱した試料に比べて見た目が白く、レトルト加熱した試料に比べて褐変が生じないという現象が確認されていましたが、食材そのものでは、複雑系での実験となり、機序解明が難航していました。したがって、モデル系での褐変抑制反応を検討し、現在では中間生成物の測定法についてはほぼ検討が終わりましたので、今後は最終産物の測定について進めて行く予定です。
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