研究課題/領域番号 |
21K18460
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
徐 淑子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40304430)
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研究分担者 |
池田 光穂 大阪大学, COデザインセンター, 名誉教授 (40211718)
黄 順姫 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50199147)
酒井 幸子 東京女子医科大学, 看護学部, 非常勤講師 (70894054)
諏訪 茂樹 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (10299935)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 薬物使用 / ハームリダクション / 求助行動 / 社会的偏見 / 周辺的集団 / サービス利用 / 周縁的集団 / サービスギャップ |
研究開始時の研究の概要 |
偏見やスティグマの効果などから周縁化・不可視化されやすく、メインストリームの支援制度から遠ざかりやすい人たちがいる。薬物使用者らは、その例に含まれる。本研究では、「援助を用いない」という事象を、現在の状況解釈や、保有する資源、過去の経験などによって、個人の問題解決プロセスや求助行動の中に、公的なサービスの利用という「選択」が働かない状況として、捉える。そして、薬物使用者の、サービスギャップとサービスアクセス、支援プログラムのあり方について「しきいの低いサービス(low-threshold service)」という枠組みの中で検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、HIV/AIDS分野から始まった「しきいの低いサービス」というアプローチを取り上げ、日本における薬物使用者他、偏見やスティグマの影響を受けやすい人たちにどのようにプログラムを届けるのかという問題に取り組むものである。本研究の最終目標は、ハームリダクションをも含む新しいアプローチの導入を再検討し、薬物使用の問題をもつ人たちに対するコミュニティ・ケアにおける、新しい支援観への道筋を開くことにある。そのために、日本国内だけでなく、幅広く他国の実践を調査する。 2021年度は、COVID-19流行の影響によって生じた前年度の遅れを完全に取り戻すことはできなかったが、資料調査および実践者会議・当事者主催のオンラインイベント等への参加を通した事例収集を、日本(徐)、韓国(徐、黄)、ヨーロッパ(徐、酒井)について行った。研究代表者・徐は、国内外の5つの会議・オンラインイベントに参加し、研究目的に合った事例を選定し、関連資料を収集してドキュメント分析の対象とした。研究分担者・酒井は、主としてスイスにおける、薬物の問題をもつセックスワーカーについて支援機関のアニュアルレポート等を用いた分析を行った。研究分担者・黄は、韓国での訪問調査の下準備を行った。 また、国内外の旅行が可能となったため、フィールド調整を目的としたカンボジア(徐、池田)および北海道・帯広(徐)への短期の予備的調査を実施した。カンボジアの予備調査により、東南アジア地域における薬物使用・HIV/エイズ関連の当事者組織および実践者連合組織とのコンタクトを得た。 これらの成果から、次年度には、ヨーロッパ初の援助モデルを、それぞれの社会・文化的文脈でどのように取り入れているかという観点から、今後の韓国および東南アジア地域での訪問調査を準備していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度予算執行の遅れは、主として以下の二つの理由である。①研究期間初年度(2021年度)に生じた遅れが持ち越されたこと。これは、COVID-19流行の影響により、研究代表者の別の研究課題(基盤研究C)を期間延長せざるを得ず、研究期間が当該科研と一部重なったこと。②遅れを取り戻すために、研究分担者の追加を行ったが、追加後に身分の異動等により分担者としての参加が難しくなった研究者2名が研究協力者に移行し、新たに1名の分担研究者を追加するなど、研究班の再編成を行ったこと。 一方、当該年度には、国内移動・海外渡航とも可能になっため、2023年度は、コロナ長期化に備えて研究の当初計画から強化していたオンライン調査(デジタルエスノグラフィー)に加え、現地調査を開始して研究計画を前進させる。 また、研究成果に関連した学会発表、ウェブサイトでの成果発表、取材協力、翻訳書(分担)の刊行等を行うことができたが、学術論文および著書刊行には至らなかったため、今年度は、成果発表も重点目標とする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、22年度までの事例選定および資料調査にもとづき、アジア地域(およびヨーロッパ)への訪問調査を行う。また、研究期間がすでに終了している研究課題(15K13084、18K02068)の成果と本研究課題の成果を統合した、薬物使用者支援とハームリダクションについての論文集の執筆・編纂に着手する。
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