研究課題/領域番号 |
21K18471
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
野中 久美子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (70511260)
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研究分担者 |
村山 洋史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (00565137)
藤原 佳典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (50332367)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | プロボノ / 地域活動 / ボランティア / 勤労者 / 中年期 / 地域づくり / 担い手 / 社会参加 / 無関心層 / 継続要因 / 地域包括ケアシステム / 生活支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、職業上のスキルや知識を活かして期間限定で地域団体が抱える課題解決を支援するプロボノ型のボランティア活動に着目し次の2点を明らかにする;1)プロボノ経験が生み出す仕事面と私生活面での効果とその関連要因、2)継続的にプロボノ活動に取り組む要因。それにより、勤労者がプロボノと言う形態で地域活動へ参加することを促す知見を提示する。そのためにプロボノ活動に複数回参加している者と1度の参加で終わった者へのインタビュー調査を実施する。次に、NPO法人サービスグラントに登録する全プロボノワーカー6000名程度を対象に質問紙調査を実施し、調査1により得た仮説の妥当性を検証する。
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研究実績の概要 |
目的:担い手の高齢化による慢性的な人材不足が地域づくりを進める上での課題になっている。その解決策の一つとして、勤労者が職業上のスキルを活かして地域団体の課題解決を支援するボランティア活動「プロボノ」がある。本研究はプロボノワーカー(以降、PW)の活動状況と活動促進要因を明らかにし、勤労者を地域づくり活動へつなぐ手法を検討する際の基礎資料とすることを目指した。 方法:NPO法人サービスグラントに登録している、①20~50歳代のPW17名(男性11名)を対象としたインタビュー調査(2020年10月実施)、②PW2,724名を対象とした質問紙調査(2021年12月実施)を実施した。質問紙調査は840名の回答を得て(回収率は30.8%)、男女別の活動状況(活動回数、活動後の支援先団体との関わり等)をMann-Whitney検定またはカイ二乗検定により検証した。 結果:質問紙調査の結果、女性では20~39歳のPW(58.7%)が最も多いのに対し、男性では40~49歳(35.8%)ついで50~59歳(29.5%)が多かった。男性は女性に比べて平均活動回数が多く(男性=2.15回、女性=1.57回)、活動後も支援先団体と関りを維持する者が多かった(男性=33.3%, 女性=22.8%)。定性的調査の結果、対象者共通の活動促進要因として活動の期間や責任範疇の明確さ、40~50歳代の男性では退職後の活動機会模索があげられた。40~50歳代では機会と条件が合えばプロボノ以外の活動への参加希望があるのに対し、20~30歳代の女性では職場と家庭での責任増加を理由にプロボノ活動休止・頻度縮小の意向が示された。 考察:活動期間や責任範疇が明確なプロボノは勤労者世代には参加しやすいボランティア形態である可能性が示唆された。また、中年期男性の退職後のライフシフトを見据えた活動になりえる可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定性的・定量的データの分析により得た知見の妥当性検証を目的に、プロボノワーカーやサービスグラントのコーディネーターらに深掘り調査を実施した。それにより、勤労者世代の参加意向を高める地域活動の形態や要因を明らかにし、地域団体の活動を支援する行政担当者や専門職らに還元できる知見を得る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、地域活動への関心が低い層(以降、地域活動無関心層)や勤労者世代が参加しやすい活動形態として次の要素が明らかになった;スキルを活かせる、期間限定、メンバーシップを要しない、活動内容と責任範疇が明確なこと。最終年度は、板橋区社会福祉協議会およびサービスグラントと協働し、これらの要素がプロボノ以外の地域活動にも応用可能かを検証する。その知見を地域活動団体を支援する行政職や専門職(生活支援コーディネーターなど)が活用できるマニュアルにまとめる。
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