研究課題/領域番号 |
21K18472
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 社会福祉法人旭川荘(総合研究所特別研究部門) |
研究代表者 |
長壽 厚志 社会福祉法人旭川荘(総合研究所特別研究部門), 特別研究部門, 研究員 (80868480)
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研究分担者 |
桑野 良三 社会福祉法人旭川荘(総合研究所特別研究部門), 特別研究部門, 研究員 (20111734)
狩谷 明美 社会福祉法人旭川荘(総合研究所特別研究部門), 特別研究部門, 研究員 (50413464)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 障害者虐待 / 知的障害者 / 支援者評価 / 意思決定支援 / 意思表出支援 / 質問紙調査 / 支援者を評価 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は知的障害者と支援者という非対称的な人間関係や立場から生じやすい虐待などにつながる不適切な事案を早期発見し、未然に防ぐために、知的障害者が支援者を評価する体制を構築することが目的である。(1)評価内容(質問項目)の検討、(2)回答及び聞き取り方法の検討(ツールの開発を含む)、(3)回答結果と基礎情報の相関関係を明らかにし、傾向を知る(IBMのSPSSにて統計解析)、(4)支援者側の心理的変化の測定(質問紙調査による)を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は知的障害者と支援者という非対称な人間関係や立場から生じやすい虐待などにつながる不適切な事案を早期発見し、未然に防ぐために知的障害者が支援者を評価する体制を構築することが目的である。その内容として知的障害者に聞き取りを行い、回答能力を明らかにすること、知的障害者に評価を受ける支援者側の心象やストレスとの関係を明らかにすることである。 前者の研究業績として、知的障害関係の入所・通所施設の利用者116人(平均年齢46.0±17.7、療育手帳判定A56人、B59人、不所持1人)に2件法及び4件法で構成された24項目の質問を使用し、日頃かかわりのない支援者が聞き取りを行った。知的障害者に支援してもらいたい職員と支援してもらいたくない職員を選択してもらい、同じ質問を実施したところ、2件法の質問においては「【職員名】のことを怖いと感じることがありますか」等がMcNemar検定にて有意差が見られ、4件法の質問においては「【職員名】は【利用者名】さんに笑顔でやさしく接してくれると思う?思わない?」等がWilcoxonの符号付き順位検定にて有意差が見られた。知的障害者が支援者に対して友好関係を望んでいるという説明できる結果であり、それを表出できることが確認できた。知的障害者の回答時の様子や、回答内容の客観性についても検討し、一定数回答能力に問題のある人もみられたが、81%の知的障害者は聞き取りの継続を希望するという結果であった。今回対象となった知的障害者をVineland-Ⅱを用いて適応水準を評価すると「受容言語」に比べ「表出言語」のスコアが特に低いことが確認できた。意思表出支援の観点からも知的障害者への心情等の聞き取りの継続は重要であるといえる。なお、本研究業績の一部は令和5年11月4、5日に開催された日本発達障害学会第58回研究大会にてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は知的障害者が支援者を評価するという、今までにない価値観に基づいた、試行的、実験的な研究である。また、知的障害者および支援者を対象とした総合的研究である。先行研究がないため、分担研究者らと分析方法等について都度検討を行いながら進めているため、予想より時間がかかっている。現在支援者側の知的障害者に評価を受けることの心象やストレスとの関係などについて分析中である。研究期間終了までに予定している成果が見込めるよう、研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
期間の延長により、現在分析中である支援者側の知的障害者に評価を受けることの心象やストレスとの関係などについて明らかにする。令和6年度は研究の最終年度であるため、明らかになった研究成果を学会発表するとともに、その成果に応じて分割して学術論文投稿し、社会に公表する予定である。研究期間の終盤においては研究成果をまとめた冊子を作成し、本研究の一般化を目標とした次研究の礎として活用する予定である。
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