研究課題/領域番号 |
21K18478
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐島 毅 筑波大学, 人間系, 准教授 (20241763)
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研究分担者 |
福田 奏子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20844799)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 触運動感覚 / 漢字書字 / 分数学習 / 教材 / 指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
文字は書いて覚え、算数では算数セットなど具体物を操作してイメージ化することが重要である。この研究では、盲児や弱視児の一連の研究成果に立脚して、全ての子どもに適用可能な触運動感覚に依拠した①新しい漢字書字及び分数学習の教材を開発し、指導法の検討とその評価を行う。初等教育の教科教育における触運動感覚を活用した具体物の操作・体験活動の重要性を検証し、新しい初等教育教科指導法の視座を示したい。
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研究実績の概要 |
10までの数量感覚を促すための触覚に依拠した数のブロックの作成し、盲学校在籍の単一障害盲児の小学部低学年児童6名を対象に、晴眼児用数のブロック教材との比較を通してその有用性について検討した。盲児用数のブロック教材磁石によっていずれの面を合わせても2つのブロックが貼りつく構造であり、マグネットボードを使用した。2つのブロックについてそれぞれ3つずつ課題を行った結果、ブロックの整列状態については、盲児用ブロックは対象児全員が直線上の配置となった一方、晴眼児用ブロックで直線上の配置となった児童は2 名のみであった。またブロックのまとまりについては、盲児用ブロックは6名全員が隣り合うブロックの全てが接している状態であった一方、晴眼児用ブロックでは2名のみであった。ブロックの傾きについて、晴眼児用ブロックと盲児用ブロックはそれぞれ3名が直列に配置することができていたが、2つのブロックを比較して大きな差は見られなかった。盲児においては、晴眼児用ブロックよりも盲児用ブロックの方がブロックを直線的かつ隣り合うブロックが接するように整列させやすいことが示唆される。この背景には、ブロックのいずれの面であっても貼りつく構造であることおよび、マグネットボードにブロックが固定されることが考えられる。 操作する手の動き 修正する手の動きについては、晴眼児用ブロックは4名に出現した一方、盲児用ブロックで出現した児童は1名のみであった。またスライドする手の動きについては、盲児用ブロックは6名に出現した一方、晴眼児用ブロックで出現したのは3名にとどまった。全体を覆う動きについては、盲児用ブロックでは6名に出現した一方、晴眼児用ブロックは4名に出現していた。以上のことから盲児においては、盲児用ブロックの方がブロックの全体を把握する動きが出現しやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数量の基礎である分解合成学習等で活用する触覚に依拠した数ブロックを作成し、盲学校の生徒を対象に事例的研究まで実施をすることができた。その有用性についても一定の知見が得られるとともに、開発した教材については製品化に向けた取り組みまで展開を図ることができた。また、昨年度の成果について全国で活用可能なようにホームページやYouTubeによる指導解説動画を作成する等、順調に進展している。新型コロナウイルス感染症の拡大のため延期した視察調査は今後、実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
触運動感覚に依拠した漢字書字指導法の開発研究についてすすめていく。触図作成方法で作成し、どの素材が触漢字教材として適しているかを検証研究を行う予定である。また、検証した素材によって触漢字教材を作成し、漢字書字に困難を有する弱視児、視知覚障害児、発達障害児を対象に、未習得漢字に対する触漢字教材による漢字指導を行い、正しく漢字書字ができたかを指導直後に評価する。 加えて、触運動感覚の統制を図るための基礎的な教材を作成し、それらの系統性・段階性について、事例的に検証するとともに、教員へのインタビューを実施する。 また、開発した分数・数ブロックを実際の算数学習で活用してもらい、それらの長期的な授業実践に基づいて有用性を検証する。
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