研究課題/領域番号 |
21K18483
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
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研究分担者 |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 視覚障害 / 知覚情報処理 / 全盲者 / 情報共有 |
研究開始時の研究の概要 |
全盲者の場合、構造の複雑な数式などを利用した学習などのシーケンシャルに情報を得るしかないことが原因となって、数式構造の全体を俯瞰した形で把握するのは極めて困難になる。一方で、晴眼者であれば、複雑な構造をもった数式や図形の把握には映像を通じて、いつでも必要なときに2次元という平面情報全体で俯瞰して、全体構造を最適化して理解することができる。ところが、全盲者にとっては、これにとって代わる情報の最適なアクセス手段が存在しない。そこで、本研究は、人間のごく自然にもつ感覚機能をベースとするアナログ情報および全盲者の持つ特有の知覚特性を巧みに活用したインタフェースに適する情報構成方法の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、人間のごく自然にもつ感覚機能をベースとするアナログ情報および全盲者の持つ特有の知覚特性を巧みに活用したインタフェースに適する情報構成方法の解明を目指すものである。 本年度の研究では、昨年度の成果である全盲者の置かれている情報空間特性およびその情報解析要素の検討結果で得られた周囲環境等を把握する特性を踏まえ、全盲者が移動するケースを想定したシミュレーターソフトウェアの開発とその評価を行った。このシミュレーターは、バーチャル空間を補講するウォーキングシミュレーターであり、シミュレーター内で予め設計した効果音モデルなどを実装してある。このシミュレーターを使って、視覚障害当事者を対象にした評価を行った。この評価では、音声によるフィードバックと効果音を使ったフィードバックを、それぞれ「スピーチビーコン」および「サウンドビーコン」と定義し、音声提示と効果音提示による違いを測定した。その結果、サウンドビーコンを活用したフィードバックがより正確にルート把握できるケースが多く存在することが判明した。生活環境においては視覚障害者は、常に音を頼りにして様々な判断を行っている。このことを踏まえると、エコーロケーションや反響音といった晴眼者があまり利用していない音の変化を捉え、様々な用途に活用していることが明らかになった。今後は、様々な音のタイプにより理解のしやすさやそこから発生する行動などについても着目して検討を進めることにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年と同様に、コロナ感染対策による影響で協力者による評価等の活動は十分に実施することができなかったが、全盲者の知覚特性について、ケーススタディを中心とした検討結果に基づく仮想環境に実装したソフトウェアの開発とその評価を行った。一方で、研究代表者が骨折による怪我をした影響で、研究の進捗が当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
この研究課題では、特に、視覚機能を失った場合に、人間が残された感覚機能を活用するモデルを解明することにある。特に、全盲者がこれまでの生活環境の中から生み出した独自の感覚機能の活用モデルに着目し、特に、周囲環境の把握に関連する機能の活用モデルを解明を進めてきた、今後は、全盲者が利用している音をより細かく解析し、どういう種類の音をどういう目的で活用しているのか、また、得られた情報をどのように構造化し活用しているのかと言った細かいところまで視野に入れつつ、全盲者の情報活用モデルの解明を進め、同時に、その応用活用という視点での検討を進めることにする。
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