研究課題/領域番号 |
21K18485
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
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研究分担者 |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
上田 麻理 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | スポーツ聴覚 / 聴覚訓練・聴覚利用 / バレーボール / アダプティブスポーツ / 視覚障害・晴眼 / eスポーツ / 音響バーチャルリアリティ(VR) / インクルーシブ体験 / ブラインドサッカー / 野球 / ゴールボール / 聴覚VR |
研究開始時の研究の概要 |
2021年に延期された東京パラリンピックの開催に向け,障害者スポーツの機運が改めて高まっていると共に,障害の有無によらず親しめるスポーツの推進が期待されている.これまで我々は,視覚障害者の各種スポーツの訓練要素を音響学的観点から分析し,実環境に拠らない訓練を可能とする音響VRシステムを開発した.本計画では,これまでの研究成果を活用し,視覚障害者と晴眼者がともに楽しむことが可能となるインクルーシブなスポーツ聴覚VR環境の構築と協調学習への応用を目的とする.本研究の意義は,聴覚を通じた新たなスポーツ能力の向上手法・環境を構築できる点の他,スポーツを通じた社会の相互理解のあり方を導ける点である.
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研究実績の概要 |
2023年度は以下の2項目に取り組んだ. 1)視覚障害スポーツを楽しむ・訓練するためのVR環境評価の分析: 前年度までで公表してきたゴールボール競技やブラインドサッカー競技における成果を取りまとめるために,追加分析を継続的に実施している.特に,2024年度中の公表を目指し,音響特性と対応付けた学習しやすい状況について調べている. 2)主に晴眼者が行うスポーツ/eスポーツにおける聴覚利用状況の検討と訓練のためのVR環境構築・評価: 前年度に引き続き,野球およびバレーボールの2競技を取り上げて検討した.野球においては,外野に飛んだボールの打球音ごとに判別しやすさについて調査を行い,ゴロよりもフライの方が判別しやすい可能性を示した.バレーボールにおいては,サーブとスパイクにおける音響分析を行い,サーブの種類ごと・スパイクの種類ごとの音響特性の違いを明らかにした.さらに,これらの音源を用いた訓練システムを構築し,初心者における訓練可能性と,上級者の熟練状況について実験的に調べた.本成果の一端は2024年8月の国際学会にて公表される予定である. 3)インクルーシブなeスポーツ体験における分析: 視覚障害者・晴眼者が共に楽しめる環境として,サウンドアクセシビリティ機能を搭載したeスポーツにおいて,両者のプレイ可能性やユーザエクスペリエンスについて明らかにした.本成果の一端は2024年7月の国際学会にて公表される予定である.さらに,視覚障害者がプレイしやすいゲーム環境について調査を実施し,2024年度中の公表を目指した分析に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染防止措置の緩和が進んだことで,様々なスポーツにおける検討が実施できた.さらに,eスポーツにおいても類似のスキームを用いた検討が進められた.一方で,実験協力者を踏まえた検討やインクルーシブ体験に関する検討は遅延していることから,「やや遅れている」と達成度を評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,計画時点で想定した3課題を引き続き遂行していく.具体的な実施内容は以下を想定している. 1) 視覚障害スポーツを楽しむ・訓練するためのVR環境構築・評価: 先に晴眼者での学習効果を検討したブラインドサッカーの音響VR環境について,視覚障害のある競技者において検討する.また,サウンドテーブルテニスについても,訓練用VR環境構築・評価などを進め,音響VRシステムによる効果の一般性について検討していく. 2) 主に晴眼者が行うスポーツにおける聴覚利用状況の検討と訓練のためのVR環境構築・評価: 野球においては,前年度までに計測・分析した打球音データのさらなる分析を行うと共に,守備力向上のための方策としての利用法についても検討する. 3) 1)・2) を用いた相互理解を促すためのインクルーシブな聴覚VR環境とワークショップ: 1)で構築した環境を晴眼者に,2)を基にしたの環境を視覚障害のある競技者に体験してもらうようなワークショップを開催する.特にスポーツのみならず,サウンドアクセシビリティの発展の社会的要請からeスポーツにおいても取り組む.この際,二群において理解できた点・発見できた点について抽出し,自身が行っているスポーツにおける競技力向上のための聴覚情報の使い方のアイディアを共有してもらう.その上で,ワークショップを踏まえた行動の変化について回答してもらうと共に,インクルーシブ性に関する理解の状況について考察する.以上を踏まえ,インクルーシブなスポーツVR環境構築のための設計指針を取りまとめる.
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