研究課題/領域番号 |
21K18491
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
主原 愛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (10825665)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ヒュームフード(FH) / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク(CNN) / 使用状況評価モデル / Grad-CAM / 自律的な安全管理を支援するツール / 実験室 / 実験安全 / 大学 / 画像解析 / 指標抽出 / 安全 / 指標 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
大学の研究現場で進む多様化は、画一的な方法論で現場を安全管理することを難しくしている。ここでの安全管理は、個々の状態を安全の観点で把握することが前提だが、適切な評価方法は議論されておらず、異なる状態を安全の観点で客観的に評価する基準があまり明確でないことが要因と考えられる。 そこで本研究では、実験室の状況を定量化し、議論の根拠となる実験室の実態を科学的に表現する指標の抽出を目的とする。実験室の象徴として局所排気装置(ヒュームフード、ドラフトチャンバー)を取り上げ、関係する定量化データを収集し、そのデータに対して深層学習手法を用いた分析を行い、実験室の実態を表現する指標を抽出する。
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研究実績の概要 |
局所排気装置(FH)は、実験研究現場で化学物質の人へのばく露防止装置として用いられ、その性能は法定の点検等の機会を通じて定期的に確認される。一方で、FHがばく露防止装置としての機能を果たすためには、普段の使用において適切な使い方がされることが必須条件であるにもかかわらず、使い方についてはガイドライン等の一般的な注意喚起にとどまっており、使用状況の良し悪しを評価する手法が存在しないのが現状である。そこで本研究では、専門家が判断する状態の良し悪しを機械的に再現するモデルの構築を行った。 1.深層学習で用いるCNNモデルの構築 使用中のFH写真の状態の良し悪しをFHの専門家に5段階で評価してもらい、AlexNetのCNNモデルを用いて評価値付きのFHの画像データを深層学習させた。その結果、畳み込みニューラルネットワークを用いた学習モデルは93%の正確率でFHの状態を判定し、機械的評価は専門家評価を数値的に再現することが示された。この結果は、現状では専門家に依頼して初めて得られるFHの状態評価が、写真一枚さえあれば、本手法を用いて実験者自らでも非常に簡単に、平易な数値評価で、高精度に得られることを示している。 2.Grad-CAMを用いた本モデルの判断根拠の視覚化 本モデルで再現したFHの状態評価はブラックボックス化しているので、数値評価の根拠を写真内への可視化を試みた。全てのFHで必ず判断根拠になる特定のエリアはなく、FHによって判断根拠となるエリアに特徴のあることが明らかとなった。モデルが抽出した判断根拠のエリアと現場で用いられるチェック項目等の項目が類似していることから、本モデルが人の判断根拠を機械的にある程度再現できたと考えられる。 本研究で着目した客観的な状態評価は、主観や思い込みを排除した自律的な安全管理を支援するツールや、「改善点」を教えてくれるツールへの展開が期待される。
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