研究課題/領域番号 |
21K18501
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
林 寛平 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10726376)
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研究分担者 |
中田 麗子 信州大学, 教育学部, 研究員 (40532073)
本所 恵 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80632835)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 公営塾 / 社会問題の教育化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は公営塾の実態を調査し、効果と課題を明らかにすることを目的とする。本課題は急増する公営塾の実態を全国調査によって明らかにするが、それを越えた3つの意義がある。第一に、地域課題を背負う公営塾の分析を通して、公教育の目的・カリキュラム・制度を問い直す視座を提供する点である。第二に、公私境界の揺らぎは世界的な潮流であることから、国際的な議論に貢献できる。第三に、「社会問題の教育化」という視点から分析することで、現代社会で教育が担う期待を浮き彫りにできる。「教育化」は自律や解放よりも、依存や幼児化を生み出すと指摘されるが、公営塾を通して、教育化される社会の帰結を批判的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は公営塾の全国的な実態を調査し、効果と課題を明らかにすることを目的とする。公営塾は新しい現象で、公と私の関係性を問い直す重要な研究対象である。本研究は、急増する公営塾の全国的な実態を初めて明らかにする研究だが、それを越えた3つの意義と可能性がある。ひとつは、公教育の問い直しという点である。日本では、どこに住んでいても標準化された教育が受けられるという、高度な公教育制度を作り上げてきた。しかし、労働市場のグローバル化が進み、ローカルな課題が多様化する中で、公教育の役割が変化している。地域課題を背負う公教育の分析を通して、公教育の目的・カリキュラム・制度を問い直す視座が提供できる。また、公私境界の揺らぎは世界的な潮流で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で加速することが予測される。本研究は、学術の趨勢に見ても課題先進的であることから、国際的な議論に貢献できる。さらに、「社会問題の教育化」という視点から分析することで、現代社会で教育が担う期待を浮き彫りにできる。「教育化」は自律や解放よりも、依存や幼児化を生み出すと指摘されるが、公営塾を通じて、教育化される社会の帰結を批判的に分析する。 3年計画の2年度である2022年度は、昨年度に回収したアンケート調査の結果の整理と分析を進めた。これは、全国の市町村及び特別区(計1773自治体)にウェブアンケートフォームを用いて公営塾の有無を尋ねたものである。分析を進める中で、公営塾の定義に揺らぎがあることから、データクリーニングの必要性が明らかになり、慎重に作業を進めた。この結果、全国の公営塾の設置数の全体像が把握できるようになり、第2回調査に向けた課題と対策を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で現地調査やインタビューができず、社会情勢の混乱を受けてインターネットを用いた自治体調査の開始が遅れていた。この影響が残り、今年度も当初の計画からやや遅れている状況にある。現在は第1回調査のデータクリーニングが終わり、調査結果の公表ができる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
当初3年で計画していたが、新型コロナウイルス感染症拡大によるやむを得ない理由により、やや遅れている。今後、繰越申請によって4年計画に変更するよう計画を見直す。社会情勢に応じて計画を修正することで、当初の目的を十分に果たせるようにする。4年計画に変更した後の3年目にあたる2023年度は、第2回調査を実施する。これは、公営塾を設置する自治体の担当者、塾のスタッフ、当該地域の公立学校の教師等に対するより詳細な内容を問うもので、最終年度(4年計画の4年目)の分析に必要なデータを収集する。
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