研究課題/領域番号 |
21K18515
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八木 信一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (10334145)
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研究分担者 |
荻野 亮吾 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (50609948)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ポスト地方分権改革 / 公民館 / 地域自治組織 / 橋渡し組織 / 学習する地方自治組織 / 飯田市公民館活動記録 / プロセス・デザイン / 公民館マネジメント / 社会関係資本 / エンパワメント / 社会的価値の創造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ポスト地方分権改革期にあたる現在、地域に根ざした集合的学習組織である公民館の新たな可能性を、長野県飯田市の公民館を事例に、住民自治と団体自治との橋渡し組織という観点から示し、行政組織と住民自治組織の総体を「学習する地方自治組織」として描き直す。このような本研究を通して、公民館研究をこれまでの社会教育論の領域から、拡張的学習論やさらには組織学習論へと越境させる、新たな試みを展開していく。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ポスト地方分権改革期にあたる現在、地域に根ざした集合的学習組織である公民館の新たな可能性について、長野県飯田市を事例として明らかにすることである。とくに、地方自治法上の地域自治組織の導入がもたらした変化に着目し、住民自治と団体自治との「橋渡し組織」という観点から、公民館を含めた行政組織と住民自治組織の総体を「学習する地方自治組織」として描き直すための理論構築とそれに基づいた分析を、学際的研究として進めていく。
研究計画中間年度であった本年度は、引き続き研究協力者である木下巨一氏(南信州基金市民活動コーディネーター、元飯田市公民館副館長)などの飯田市関係者の協力や助言等を受けながら、研究活動を進めてきた。具体的な研究実績としては、まず前年度と同じく『飯田市公民館活動記録』(以下、活動記録)の分析を、本年度は地域自治組織導入前を対象に行った。そのうえで、活動記録を基にした定量分析からは十分に把握することが難しい活動プロセスについて、活動記録や関係資料の分析を踏まえたテーマ設定のもと、公民館主事(および主事経験者)へのグループ・インタビュー調査を行った。また、次年度に予定しているヒアリング調査の準備として、飯田市総合計画に関するヒアリング調査も行った。
さらに、「学習する地方自治組織」の分析枠組みの構築に向けて、住民自治組織が課題解決に向けた役割をどのように高めていくのかについて、まちづくり分野の知見を応用したプロセス・デザインのモデルを導入し、その段階を示すことができた。また、住民自治組織の学習機能を高める公民館の役割に関して、経営論(マネジメント)の観点からの検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飯田市における地域自治組織導入前後の約30年間を対象とした、『飯田市公民館活動記録』の分析をとりまとめることができたこと、その結果を踏まえながら分析枠組みの構築が進み出したことに加えて、コロナ禍で前年度には行うことができなかった、飯田市での研究打ち合わせやヒアリング調査を再開させ、次年度における飯田市での調査を進展させるための環境を整えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度にあたる次年度(令和5年度)は、当初予定よりも遅れていたヒアリング調査について、飯田市の地域自治組織による取り組みのなかでも、「学習する地方自治組織」の分析枠組みへの適用が行いやすいと現時点で考えている、地区基本構想・基本計画を題材にしたヒアリング調査を行う(また必要に応じてアンケート調査も併せて行う)。そして、それらの調査結果を踏まえて、「橋渡し組織」としての公民館の役割について研究分担者が中心となって検証を行う一方で、「学習する地方自治組織」の理論化を研究代表者が中心となって完遂させる。そのうえで、飯田市関係者に対して最終成果報告会を開催し、意見交換等を行う。
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