研究課題/領域番号 |
21K18526
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
位田 達哉 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (40434279)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | VR / VRシミュレータ / 生理的指標 / 脳波 / 心拍 / 作業能率分析 / VR / 建築施工教育 / 作業能率測定 / 脳活動計測 / 学生製作 / PBL |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,大学生の修学意欲向上を図るための革新的な体験型授業の創出を試みる. 経験工学に基づいた建設現場の学修を,VR建設現場シミュレータによる仮想演習と,実際に工具や資材を用いた施工演習の双方の観点から実施することのできるハイブリッド型の建築施工教育システムを構築し,その学修効果や意欲の変化を脳波や脈波等の生体情報から得られる視覚性課題遂行時の注意機能から検証するものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,大学生の修学意欲向上のための革新的な体験型授業の創出を試みるものであり,建設現場における経験工学に基づいたVR建設現場シミュレータによる仮想演習と,建設現場を模擬した現実空間における施工演習とのハイブリッド型の建築施工教育システムを構築し,その学修効果や意欲の変化を視覚性課題遂行時の注意機能から検証するものである。本年度は,下記の2点について検討した。 1)VR建設現場シミュレータ体験時における学修評価のため,生理的指標の簡易モニタリングの方法を検討した。HMD(Head Mount Display;頭部装着ディスプレイ)装着によるVR体験中の生理的指標の計測を想定し,簡易に取得するための生体情報デバイスを選定し,その手順を整理した。脳波および心拍変動を生理的指標とし,脳波は無線型瞑想デバイス,心拍は胸心拍センサをそれぞれ用い,得られた特性値を解析することで簡易的にVR体験中の生体情報をリアルタイムに得られる一連のシステムを構築した。 2)VRと現実空間における学修効果の違いを明らかにするため,VR空間における仮想の製作体験による作業能率の変化を釘打ちの被験によって検証した。作業能率分析の結果,VR空間での釘打ち訓練により作業能率は向上したが,現実空間の施工演習では作業能率の劇的な変化は確認できなかった。そこで,生理的指標を解析したところ,VR訓練をすることで作業に対する集中度が増している一方,現実空間の施工演習では過剰な緊張をせず,落ち着いて丁寧に作り込むような作業を進める傾向にあった。VR空間と現実空間での学修の質に違いがあり,この点を活用あるいはギャップを埋められるよう引き続き検討をする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VRシミュレータは想定通りのシステムを開発することができ,当初は被験による問題も発生していたが,これらを解決して適切な環境を構築することができた。ただし,COVID-19対応のため,十分な被験者を集めることができず,統計的な判断を下すにはデータが十分に収集できたとは言い難い。加えて,被験に関する作業能率分析と生理的指標で取得したデータの解析に試行錯誤し,これらのデータ解析が不十分である。引き続きの被験で取得するデータと合わせて膨大な解析作業が残っている。 このような状況であるため,やや遅れていると判断する。ただし,大筋の研究は完了に近く,追加実験によって得られた知見を最終年度で深める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により,建築生産の分野でこれまで続けられてきた作業能率分析では解明できなかった事象が生理的指標によって解釈できることがわかった。被験者を追加して作業能率分析および生理的指標の解析を進め,VR空間と現実空間の学修の質の違いを明確にし,大学生の施工管理教育に適した学修方式について検討を重ねる。そして,次世代に向けた施工管理教育のための学修ツールを構築する。
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