研究課題/領域番号 |
21K18533
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
後藤 正幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40287967)
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研究分担者 |
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30379028)
山下 遥 上智大学, 理工学部, 准教授 (90754797)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 能動学習 / ポストコロナ / 異文化ネットワーキング / 主体的学習 / 協働型学習 / ネパール / 異文化交流 / 教育効果 / 学習モデル / 研修プログラム / アクティブラーニング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ネパールをフィールドとして展開する「学生主体型海外連携教育プログラム」を実証的評価の場とし,ポストコロナ社会を想定した異分野・異文化協働型の主体的学習モデルを提案する。具体的には,専門性や文化の異なる多様なバックグラウンドを持つ学生をプロジェクトチームとして組織し,情報技術を最大限に駆使してソーシャルディスタンスを確保しながら,フィールドリサーチをPBL(課題・プロジェクトに基づいた学習)の協働学習の場とするアクティブ・ラーニングのモデルを提案すると共に,実証的アプローチによって,その最適な実施方法を示す。
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研究実績の概要 |
本研究では,ネパールをフィールドとして展開する「学生主体型海外連携教育プログラム」を実証的評価の場とし,ポストコロナ社会を想定した異分野・異文化協働型の主体的学習モデルを提案することを目的としている。本研究チームは15年にわたり4つの大学(国内3,海外1)で実施してきた教育プログラムのノウハウを活かし,専門性や文化の異なる多様なバックグラウンドを持つ学生がフィールドリサーチを協働学習の場とする学習モデルについて,ポストコロナ環境下においても実施可能で,かつ教育効果の高い次世代型の協働型主体的学習モデルの開発を目指している。 2023年度は,新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され,我々の研究チームが日本側学生を引率して実施するネパール研修プログラムの計画が可能となった。そこで,長年蓄積されてノウハウを集約し,効果的な学びの場を具現化したネパールフィールド研修を設計し,2024年2月~3月の期間に実施した。このフィールド研修プログラムの企画段階と実施前後においては,ネパールと日本を結んだ遠隔Web会議を活用し,これまでは困難であった深いレベルでの協働作業が可能となった。本プログラムに参加した両国の大学生に対してもアンケートによる評価を実施しており,本プログラムの評価を進めている最中である。 また,2022年までに調査を展開した卒業生への追跡調査に関しても継続してフォローアップを行い,分析を進めている段階である。これは,大学生であった時期に本研究で対象としているプロジェクトで学び,すでに卒業しているネパール人学生と日本人学生の双方に対して実施した追跡調査である。この追跡評価の結果は,日本人学生とネパール人学生のそれぞれに対して統計分析し,本プログラムの有効性が確認できている。加えて,個別の事例に対して,ヒアリング調査を実施するなど,より深いレベルでの質的調査を織り交ぜる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度までは,コロナ禍の影響により,ネパール現地で実施するフィールド研修プログラムの実施が困難であった。そのため,ネパールと日本をオンラインで接続し,リアルタイムのオンラインシンポジウムなどの取り組みを実施したが,対面での交流ができないことの影響は学生達に取っては非常に大きいものであった。しかし,2023年度は,新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたことを受け,2024年2~3月に日本側の研究チームが日本人学生を引率する形でのネパール研修プログラムを実施した。そのプログラム設計段階では,本研究の成果を最大限に活かすと共に,コロナ禍のオンライン対応によって蓄積された様々なノウハウが実を結び,実際に参加して現地体験を共有するフィールド研修プログラムの前後にオンラインコミュニケーションを織り交ぜることで,現地プログラムの完成度や教育効果を高めることが可能となった。また,このフィールド調査プログラムでは,2パターンのフィールド調査のテーマを設定しアンケート調査票を作成したうえでネパール現地入りし,日本側大学生とネパール側大学生がペアとなって現地調査を行うプログラムを展開した。その調査結果については,現地においてグループディスカッションにて課題を定性的に分析すると共に,データを持ち帰っており,統計分析を進めている段階である。 このように,現在までの進捗状況としては,コロナ禍の影響が当初の想定以上に長期化した影響を多分に受け,やや研究の進捗も遅れていたが,海外フィールド研修プログラムの実施が可能になったことから研究の進捗速度は回復している。ネパール現地において対面で実施したフィールド研修プログラムを実施したことにより,日本側大学生とネパール側大学生の間に共通体験と友情が醸成されており,よりオンラインのWeb会議システムによるプログラムの効果が発揮できる環境が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,ネパールをフィールドとした「学生主体型海外連携教育プログラム」を実証的評価の場とし,対象教育プログラムが「学生」,および「大学」に与えた影響について詳細な追跡評価を行っている。その際,対象教育プログラムの効果と重要な機能を正しく現状評価することに加え,さらに有効な学生主体型教育プログラムを設計するための「あるべき姿(To Beモデル)」の構築を目指している。 2023年度は,これまでに同プログラムに参加した卒業生に対する追跡調査の結果,並びに2022年度までに蓄積されたコロナ禍でのオンラインプログラムの様々なノウハウを援用し,情報技術を最大限に援用する形での海外フィールド研修プログラムの設計を行い,2024年2~3月のネパール現地でのフィールド研修プログラムを実現できた。2024年度は,このネパール現地における調査結果については,収集したデータを持ち帰っており,統計分析を進めている段階である。その成果について,両国の大学生が分析を進め,その結果をお互いに共有する共同シンポジウムの開催を目指す。その形態は,Web会議システムを援用したオンライン形式での実施を検討すると共に,その実施方法について入念な設計を行う予定である。 また,2022年までに調査を展開した卒業生への追跡調査についても引き続き分析を継続する予定である。特に,過去15年間に渡って本教育プログラムを実施した結果について定量的な評価と分析を行った結果に基づき,インタビュー調査による質的な分析を試みる。アンケート調査とインタビュー調査を統合して,対象教育プログラムの長期的観点からの分析結果をベースとし,メンバー全体で「あるべき姿(To Beモデル)」を検討する。 以上により,情報技術を最大限に援用したモデルを発展させることで,ポストコロナ社会下で可能となる異分野・異文化協働型主体的学習モデルをデザインする。
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