研究課題/領域番号 |
21K18541
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
荻田 純久 関西学院大学, 教職教育研究センター, 准教授 (50369617)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | メンタルヘルス / 児童期 / 青年期 / 母親 / コロナ禍 / 過剰適応 / 利他行動 / 自殺予防教育 / よい子 / 自殺予防教育プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
さまざまな自殺予防教育プログラムが開発され,学校教育現場で実践されているが,自殺者の増加傾向を考えれば十分とは言い難い。本研究では,いわゆる「よい子」と大人からは見え,見過ごされがちな子どもたちの生きづらさを解明することで自殺予防に繋げることを目的とする。とりわけ社会的には賞賛されることが多い利他行動の功罪について注目し,「よい子」を含む全ての子どもに適用できる自殺予防教育プログラムを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、コロナ禍における親子のメンタルヘルスの背景要因を明らかにするために新型コロナウイルス感染等の諸事情により学校に行けない経験が過去30日間にあった児童期、青年期の子どもを子育て中の母親を対象とした調査データを分析した。その結果、女児の母親は「精神的疲労」が高まると「子どもとの活動」の頻度が高くなり、逆に「子どもとの活動」の頻度が高くなると「精神的疲労」が軽減することが示されたが、男児の母親ではそうした傾向はみられなかった。次に「精神的疲労」から「メンタルヘルスハイリスク」へのパス係数において、子どもの性別による有意差が認められ(5%水準)、コロナ禍による「精神的疲労」が蓄積した場合に女児の母親の方がメンタルヘルス悪化に繋がりやすい可能性が示唆された。青年期の子どもを子育て中の母親においても精神的疲労が蓄積し、メンタルヘルスが悪化、そして精神疾患が発症するリスクは子どもが男性ではなく女性である方が高くなる可能性が認められた。一方、青年期においては児童期のような母娘が一緒に活動することで精神的疲労が軽減されるモデルに当てはめることが出来なかった。コロナ禍のメンタルヘルス悪化要因の一つとして、早期から女性であることが言われていた(Pierce他,2020)。コロナ禍の母娘においてお互いの精神的疲労を察知し、児童期の子どもは一緒に活動する中で、青年期の子どもは一緒に活動することは少ないものの対話等により相互にケアギビング行動をとっていた可能性も考えられる。その中で普段よりもメンタルヘルスが悪化しているため母娘で無理をしてしまい、結果的にお互いのメンタルヘルスをさらに悪化させていたケースもあったと思われる。こうしたコロナ禍の家族関係において親や子どもの過剰適応傾向が関与していたケースも含まれていたと思われ、この辺りを明らかにしていくことが今後の課題の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高齢の親の介護等による。
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今後の研究の推進方策 |
承認された1年延長の機会を有効活用し、過剰適応の再定義および新たな自殺予防教育の提案へと繋げていきたい。
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