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社会的孤立・隔離後の社会的絆の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K18547
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分10:心理学およびその関連分野
研究機関筑波大学

研究代表者

小川 園子  筑波大学, 人間系, 特命教授 (50396610)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
キーワード社会的接触経験 / オキシトシン / 不安とストレス / 内側扁桃体 / オキシトシン受容体 / ソーシャルインターラクションテスト / オキシトシンとイソトシン / マウスとカクレクマノミ / オキシトンとイソトシン
研究開始時の研究の概要

本研究では、社会的孤立・隔離の状態から、社会的関係性(絆)を再構築していく過程でのオキシトシンの役割の理解を目指す。オキシトシンは視床下部で産生され内側扁桃体などの脳部位に作用し、社会的絆の形成に中心的役割を果たしている。社会的経験の多寡を実験的にコントロールできる4+1ドミトリー型社会行動測定装置を新たに考案・使用し、社会的隔離後のマウスの社会的探索や不安行動を測定すると同時に、内側扁桃体のオキシトシン結合ニューロンの神経活動を測定する。さらに個体間の絆が強いことが知られているカクレクマノミをモデルとして、長期的な個体間関係性の維持の過程を解析する新しい実験パラダイムを確立する。

研究実績の概要

本研究では、社会的孤立・隔離の状態から、社会的関係性(絆)を再構築していく過程でのオキシトシンの役割の理解することを目指している。主に視床下部室傍核で産生されるオキシトシンは、内側扁桃体をはじめとする脳部位に運ばれてオキシトシン受容体に結合し、親和性行動、社会認知の促進および不安やストレス反応の低減に働くことによって、社会的絆の形成に中心的役割を果たしていることが報告されている。しかし、これまでの研究では、行動テストに先立つ個体の社会的経験についてはほとんど考慮されておらず、孤立・隔離後の社会的絆の再構築におけるその役割の理解には程遠いと言わざるを得ない。
そこで、本研究では、新たに開発した社会的経験の多寡を実験的にコントロールできる4+1ドミトリー型社会行動測定装置をマウスとカクレクマノミの動物モデルに適用することとした。2023年度には、2022年度に引き続き、隔離飼育の後に、社会的接触経験を経ることによって、その後の行動様式にどのような変化がみれるのかを、オキシトシン受容体の欠損と非欠損の雌マウスで比較・検討した。その結果、オキシトシン受容体非欠損のマウスでは、過度の社会的接触経験は、未知の社会的刺激への探索時間がむしろ減少することが明らかとなった。一方、オキシトシン受容体欠損マウスでは、長期間にわたって社会的接触経験が剥奪されると、未知の社会的刺激に対峙した際に対して不安様行動を示すことがわかった。しかし、既知と未知の物体を識別する物体再任課題では、社会的接触経験が剥奪されたオキシトシン受容体欠損マウスでも非欠損のマウスと同様に未知の物体への探索行動の増加傾向がみられた。したがって、オキシトシン受容体は、長期の社会的孤立後に他個体との新たな絆を形成する際に特異的に重要な役割を果たしていると結論された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2022年度と同様、マウスでの解析は順調に進んだものの、カクレクマノミを用いた解析については、装置のプロトタイプの作製に手間取り、十分な解析が進まなかったため、全体として、遅れがあったと自己評価した。

今後の研究の推進方策

残りの期間で、マウスを用いた研究成果について、本研究で開発し行動解析に使用した4+1ドミトリー型社会行動測定装置の有効性を含めて論文として発表する。合わせて、カクレクマノミを用いた実験の解析を進めて、専門学会での成果発表を行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Estrogen Receptor b in the Lateral Septum Mediates Estrogen Regulation of Social Anxiety-like Behavior in Male Mice2024

    • 著者名/発表者名
      Hasunuma, K., Murakawa, T., Takenawa, S., Mitsui, K., Hatsukano, T., Sano, K., Nakata, M., and Ogawa S.
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 537 ページ: 126-140

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2023.11.019

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The lateral septum in the regulation of aggression and social anxiety: Brain circuitry and neuroendocrine control.2023

    • 著者名/発表者名
      Hasunuma, K., Nakata, M., and Ogawa S.
    • 雑誌名

      Tsukuba Psychological Research

      巻: 61 ページ: 1-23

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Estrogen receptor beta neuronal network in the regulation of social behaviors in mice.2024

    • 著者名/発表者名
      Sonoko Ogawa
    • 学会等名
      Society for Social Neuroscience, 2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 社会行動の調節に関わる神経内分泌ネットワーク:エストロゲン受容体ベータの発現と機能に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      小川園子
    • 学会等名
      第49回日本神経内分泌学会学術集会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of estrogen receptor beta-expressing neurons in the neural networks of social behaviour.2022

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, S., Takenawa, S., Murakawa, T., Hasunuma, K., Moraes, L., Sagoshi, S., Nakata, M., and Sano, K.
    • 学会等名
      The 11th International Meeting Steroids and Nervous System
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Life-long hormonal action on social brain2021

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, S.
    • 学会等名
      Tsukuba Conference on "Social Brain 2.0: Social Neuroscience in Post-Pandemic Era"
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 動物心理学入門:動物行動研究から探るヒトのこころの世界 (分担執筆)2023

    • 著者名/発表者名
      小川園子
    • 総ページ数
      156
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641174887
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 脳とホルモンの行動学: わかりやすい行動神経内分泌学(分担執筆)2023

    • 著者名/発表者名
      小川園子・高橋阿貴
    • 総ページ数
      364
    • 出版者
      西村書店
    • ISBN
      9784867060438
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2021-07-13   更新日: 2024-12-25  

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