研究課題/領域番号 |
21K18551
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高橋 史 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80608026)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 衝動性 / 社会モデル / 質的研究 / 量的研究 / モデル構築 / 医学モデル / 思春期 |
研究開始時の研究の概要 |
不注意や衝動性に関連する臨床研究領域では、20世紀までは、不注意や衝動性を消失させるべき障害とみなす「医学モデル」が主流であった。一方、現在では、特に不注意の研究分野において、不注意の問題を個人の資質ではなく環境とのミスマッチとみなす「社会モデル」に基づいて有効な支援方略が確立されるようになった。本研究では、この流れを衝動性にも応用して、衝動性が生活困難につながる経路とそうでない経路をモデル化し、具体的・現実的な問題対処と自己受容を両立させる治療法開発の理論的基盤の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
カナダ在住の日本ルーツを持つ成人7名(Cis-Female 7名)を対象として、60~120分の面接調査を行い、衝動性を示すエピソード、および行動力を示すエピソード等について聴取した。聴取内容の逐語データを分析した結果、「衝動性」と「行動力」は、行動の形態や反応潜時の短さ、熟慮不足といった従来の定義では区別されておらず、「他者の人権の保護」が動機であり、かつ、それ自体が他者の人権を侵害しないと認識された行動は行動力の表れ、そうでない行動は衝動性の表れとしてモデル化された。日本とカナダの子育て・教育における差異、すなわち文化的差異についても、研究協力者7名全員から言及があった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、衝動性と行動力の概念を再定義し、行動の形態や本人の熟慮度といった個人内要因のみならず、行動が実行される文脈を考慮するように治療モデルを拡張するものである。また、行動の問題性認識(「衝動性の現れ」と判別すること)に対して文化的背景が与える影響を示唆するものであり、心理学や異文化理解の分野に新たな知見をもたらすと共に、グローバル社会における人材育成や教育のあり方を考える上でも重要な示唆を与えるものである。
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