研究課題/領域番号 |
21K18553
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三輪 晃司 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40806147)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 単語認知 / 漢字 / 個人差 / 手書き / 語彙判断実験 / 一般化加法モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は漢字単語の認知処理における個人差の影響の仕方とその度合いを明らかにすることである。とりわけ、近年明らかな手書き習慣の減退が漢字単語の認知処理パターンに及ぼす影響を中心に検討し、ライティングとリーディングの関係を解明しつつ、漢字認知モデルの発展を目指す。効率的な漢字認知を達成するメカニズムは諸説提案されているが、認知処理プロセスのある時点で漢字は部品に分解されて認知されるという説が優勢である。本研究は漢字単語の認知における部分と全体の処理のバランスに影響しうる個人差の影響を一般化加法混合モデルにより検討する。特に長期的な手書き習慣の有無と短期的な手書き行為の影響に焦点を当てる。
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研究成果の概要 |
本研究では、短時間の手書き活動と日常的な手書き習慣が、漢字の認知プロセスに影響を与えるかどうかを、事前-事後テストデザインを用いて検討した。日本語母語話者を対象に、2回の漢字認知実験を行った。2回の実験の間に、参加者は手書きまたはキーボードで短時間の漢字のライティングを行った。参加者は日常的な筆記習慣に関するアンケートにも回答した。その結果、短時間の手書き活動は漢字の認知プロセスに影響しないことがわかった。しかし、2回目の漢字認知実験では、視覚的にシンプルな左右漢字が速く処理される傾向が見られるなど、種類に関わらずライティング活動が単語認知プロセスに影響を与える可能性があることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年見られる手書き活動の減退(文化庁, 2013)が、ライティング活動の円滑さという問題を超えて、私たちの頭の中の単語の認知プロセスにも影響を与えているのではないかという疑問を解決するために、本研究では短時間のライティング活動(手書き, タイピング)と長期的なライティング習慣の単語認知プロセスへの影響を検証した。結果、短時間のライティング活動時のライティング方法は漢字の認知プロセスに大きく影響しないことがわかったが、長期的なライティング習慣は漢字の処理に影響している可能性が見られた。本研究はこれまで行われてきた手書きvs. タイピングの議論に科学的なエビデンスを提供する。
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