研究課題/領域番号 |
21K18558
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大坪 庸介 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80322775)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 協力 / シグナル / 間接互恵性 / パートナー選択 / 協力シグナル / out-for-tat(OFT) / 進化 / 進化ゲーム理論 / 協力意図 / 評判 / 進化的安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
人々はなぜ普段から協力的に振る舞う人を望ましいパートナーだと考えるのだろうか。普段は協力的に振る舞っているような人も、ここぞという大きな取引で相手を裏切ったりはしないのだろうか。安定的協力傾向モデルは、このような日常的な協力行動が協力性の正直なシグナルになることを予測するモデルであり、本研究はその妥当性を理論的、実証的に検証するものである。具体的には、普段、どのようにふるまっている人が信頼に値するのか、そのような人は同じ関係に留まろうとする傾向があるのかといった問題に対して、実証的な証拠を提供することを目指している。
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研究成果の概要 |
本研究では、協力意図を他者に正直に伝える際に、どのようなシグナルが可能であるかを、モデルと実験を用いて検討した。通常、シグナルの正直さはシグナルを発するコストによって保証されると考えられるが、モデルを用いた検討により、コストのかからない協力意図のシグナルが一定程度までは正直なシグナルとしてパートナー選択に役立つことが示された。一方、実験を用いた検討では、コストのかからないシグナルが利用可能な場合は、協力意図の有無にかかわらずシグナルが使用されてしまい、シグナルの正直さ(情報的価値)が損なわれることが示された。これらを合わせて、協力意図シグナルにとってのコストの意味の理解が深まった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、協力意図シグナルという学術的にはこれまで理解が進んでいなかった現象の理解を深めたものである。特に、一定程度まではコストのかからないシグナルが有効であることが示されたことはこの研究の学術的成果のひとつである。その一方、実験的検証では、コストのかからないシグナルが利用可能になるとシグナルの情報としての価値がなくなることを示したことも学術的成果である。また、応用的な観点からは、人々のシグナルを通じた情報のやりとりの設計において、どのくらいの正直さを保証するためにどの程度のコストが必要かをモデルと実験の併用により検討可能であることを示した。
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